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2008年11月28日 (金)

点眼薬とコンタクトレンズ

高齢者を相手にすることが多いからか
コンタクトレンズ(CL)が恐くて自分が裸眼だからか
点眼薬とCLの服薬支援を忘れることもしばしば・・・

CASE 6

  28歳女性  妊娠(-)、授乳(-)
  既往歴:花粉症
  他科受診:なし 併用薬:なし

 
  H20.11.17の処方:
    Rp1)アレロック(5) 2T/2x
    Rp2)ザジテン点眼液

  薬歴から得られた情報:
  H18,H19の11~12月にかけて鼻汁・くしゃみ・目のかゆみで来局
  原因は不明だが、おそらく花粉症
  前年の処方もRp1)2)でSE(-)

  患者のコメント:
  「毎年この時期なんですよね~
   もう鼻水がすごくて、目もかゆいし」

 薬剤師とのやりとりで得られた情報:
  ソフトコンタクトレンズ(SCL)を使用(使い捨てタイプではない)

□CASE 6の薬歴
 ♯1 ザジテン点眼液とSCL
  S)鼻汁(++)、目のかゆみ(+)
  O)SCL使用(使い捨てではない)
  A)BAKがSCLに吸着
  P)角膜障害やSCLの破損の恐れを説明
   SCLを外して点眼、5~10分以上おいて再装着を

□解説
 POINTはCLの種類と薬剤(防腐剤)である。

 
 まず、CLの種類はハードコンタクトレンズ(HCL)、酸素透過性ハードレンズ(O2レンズ)、SCL、使い捨てTYPEの4種類がある。一般的に、薬剤の吸着性の少ないHCLは装着時の点眼「可」、薬剤が吸着・蓄積しやすいSCLは装着時の点眼は「不可」とされるCASEが多い。今回のザジテン点眼液も御多分に漏れず「不可」である。

 ちなみに、O2レンズはHCLとSCLの中間くらいで、SCLと同様に「不可」とされるCASEが多いようだ。使い捨てTYPEは材質はSCLだが「可」である。

 
 次に、薬剤(防腐剤)の問題。薬歴のA)で示したBAK(ベンザルコニウム塩化塩)は防腐剤で、SCLやO2レンズに蓄積され、角膜障害やCLの破損を引き起こすことが知られている。防腐剤フリーのザジテン点眼液UDという商品もあるが、保険上、花粉症(アレルギー性結膜炎)には使用できない。

 
 よって、点眼時にはCLを外して点眼し、薬剤が吸収されて角膜上から消失するまでの時間である「5~10分」以上経過して再度装着するように服薬支援を行っている。

□考察
 今回のCASEは完全に自己満足・その場しのぎの内容に終わっている。

 CLの存在を確認したまでは良かったが、点眼のたびにCLを着脱する行為ができるかは想像に難くない。

 なぜ、そこまで踏み込めなかったか。それは、H18,H19もDo処方で投薬していたからだ。自分が患者なら「今まではCL着けたままだったけど」と考えるであろう。そんなブロッキング状態では、インタール点眼液やケトチフェンPF点眼液「日点」を代案として提案するどころか、P)も歯切れの悪いものになっていたと思われる。

 点眼薬だけでも、点眼方法・点眼剤の量・点眼順序・点眼間隔・保管方法・使用期限・CLとさまざまな注意点がある。
 
 外用薬は特に薬剤師の力が発揮できる分野と感じる。

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2008年11月21日 (金)

感情の矛盾

昔は「コンプライアンス」、今は「コンコーダンス」 「アドヒアランス」
言葉だけが先行している感じが否めない。
薬を飲む理由・飲まない理由を患者本人から引き出せれば・・・

CASE 5
  73歳女性
  既往歴:高血圧、脂質異常症(FH)、狭心症、心臓弁膜症、胃潰瘍、CKD
  他科受診:なし 併用薬:なし
 定期処方:
  Rp1)コメリアンコーワ錠100mg 2T・クレストール錠2.5mg 2T・セルベックスCap50mg 2P/2x
  Rp2)ダイアート錠60mg 1T・ガスターD錠20mg 1T・バイアスピリン錠100mg 1T・メインテート錠2.5mg 1T/1xM
  Rp3)カルデナリン錠1mg 1T/1xVds
  Rp4)ディオバン錠160mg 1T/1xM

  前回の薬歴から得られた情報:
  BP160/90、自覚症状(+)→足がよろよろ
  ブロプレス錠8mg→ディオバン錠160mg
  
  患者のコメント:
  ディオバン(160)は強いんですよね~。半分にして飲んだらダメ?

 薬剤師とのやりとりで得られた情報:
  ○ディオバン(160)変更後、過降圧などのSEはなく、BP130/60で安定
  ○今は指示通りディオバン(160)を服用している
  ○漠然と強い薬は恐ろしいという感情がある
  ○BPが高い状態も自覚症状(+)で恐ろしい
 
□CASE 5の薬歴
 ♯1 ディオバン160への矛盾した感情(ノンコンプライアンスの恐れ)
  S)ディオバン(160)は強いんですよね~。半分にして飲んだらダメ?
  O)BP130/60で良好。SE(-)
       感情1:強い薬は恐ろしい
   感情2:BPが高い状態が続くのも恐ろしい
  A)矛盾した感情(+)→自己決定へと導く必要あり
  P)患者の中の矛盾した感情を一緒に確認
   降圧剤の自己調整→BPが高い状態→脳卒中などの重大な病気
   へとつながる恐れを説明
  R)そうですね。つづけて飲んでみます。
   相談して良かった(笑)

□解説
 患者のコメントの背後にある感情に着目することがポイント。
次に、今日まではコンプライアンス良好なのだから、その行為のもとになる感情に着目し、矛盾した感情を見つける。あとは自己決定へと誘導する流れになっている。
 ここで大事なのは、「半分にもできますが、指示通り飲まないとダメですよ」
というような直接的な回答をしないことだ。
「きちんと飲んでくださいね」の類の指導を繰り返している例をよく見かけるが、
その指導自体には何の意味も持たないことが多い。
 
 * R):患者のリアクション

□考察
 実に70%もの患者が薬を指示通り服用できていないらしい。
私たちは、ノンコンプライアンスの原因として、「薬識不足」という言葉をしばしば使う。
 しかし、「薬識」という言葉の定義は広い。
服薬ケア研究所所長の岡村祐聡先生の言葉をお借りする。

 『 例えば高血圧の人が高血圧の薬を前にして 「これは○○という名前の
高血圧の薬である」と知っていたとしても、それだけでは正しい薬識を持って
いるとはいえないのです。「この薬を飲むことによって、自分の血圧はコントロール
される」→「自分にとって大切な薬である」というところまで認識できたとき
に初めて「薬識をもてた」といえるのです。そしてさらに服薬意欲までつなが
ることができれば、理想的な薬識形成といえるでしょう』(
*1)
 
 ノンコンプライアンスの(恐れの)原因が単なる理解不足からなのか、それとも感情に起因したものなのかを見極め、適切なアプローチが必要だ。
実際は、感情によるノンコンプライアンスが非常に多いように思われる。
しかし、それは取りも直さず、患者自身の健康願望の現われとも考えられる。

 今回のCASEのような患者からの質問は、正しい薬識形成へのチャンスだ。
啐啄の機と捉えてアプローチしたい。

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*1:『会話で学ぼう薬剤師のための患者対応技術の実践法』岡村祐聡[著]

会話で学ぼう薬剤師のための患者応対技術の実践法

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カウンセリング技術を勉強するより、本書の「服薬ケアコミュニケーション」の方が実践的ですよ。

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2008年11月14日 (金)

ハルシオン-ジフルカン

会うたびに「命の恩人」と言ってくれるおばあちゃんがいる。
会うたびに「残薬も視野にいれないとな」と自戒する。
平成17年、薬剤師3年目でした。

CASE 4(H17.3.28)

  80歳女性
  既往歴:高血圧、脂質異常症、逆流性食道炎、不眠症、食道カンジダ
  他科受診:なし 併用薬:なし

 定期処方:
  Rp1)マイスリー(10)1T/1xvds 
  Rp2)ニューロタン(50) 1T・メバロチン(5) 1T・オメプラール(10) 1T/1xM
  Rp3)デタントールR(3) 1T/1xA
 Rp4)ジフルカン(50) 2P/1xM

患者のコメント:
 「朝方、フラフラする。動悸もひどく色々検査受けたけど、
  今のところ異常ない。入院を勧められた。」

 患者を観察:会計時、財布を取り出すときに巾着の中にハルシオン(0.125)を発見

  
 薬歴から得られた情報:
  H 7.9~ ハルシオン(0.125) 1T/1x不眠時 頓服服用
  H15.2~  ハルシオン(0.125) 1T/1xvds 連日服用
  H17.1~ 寝つきがわるくなり、マイスリー(10)へ変更
  H17.3.21 食道カンジダにて、ジフルカン服用開始

 薬剤師とのやりとりで得られた情報:
  最近、マイスリー(10)は効きが悪い。
  以前の(残薬の)ハルシオン(0.125)を飲むとぐっすり眠れる。
  
 
□CASE 4の薬歴
 ♯1 ハルシオン-ジフルカン(併用禁忌)
  S)朝方フラフラ(+)、動悸(++)
   検査では異常なく、入院を勧められる
  O)マイスリーの効きが悪く、残薬のハルシオン(0.125)を服用
  A)ジフルカンによるCYP3A4阻害→ハルシオン[C]↑
  P)相互作用について説明
   ジフルカン服用中はハルシオンを絶対飲まないように
   残薬を勝手に服用すると恐い事も合わせて説明
   トレースレポートにて服用状況(併用禁忌)を報告

□解説
 POINTは2つ。

 まずは、残薬への視野である。過去の薬歴より、ジフルカン初処方の際に
ハルシオンが残っていないかを確認すべきであった。灯台もと暗しではダメだ。

  次に、併用禁忌。アゾール系抗真菌薬との併用禁忌薬は多い。
原因はCYP3A4阻害による(ブイフェンドを除く)。主なものを以下に示す。

 ジフルカン ⇔ハルシオン・エルゴタミン
 イトリゾール⇔ハルシオン・エルゴタミンリポバス・カルブロック・バイミカード・オーラップ・キニジン
        ・ベプリコール・レビトラ
 フロリード ⇔ハルシオン・エルゴタミンリポバス・カルブロック・バイミカード・オーラップ・キニジン
  ブイフェンド⇔ハルシオン・エルゴタミン・オーラップ・キニジン
        ・リファンピシン・テグレトール・フェノバール(下段3品目は誘導の為)

□考察
 ハルシオンとジフルカンが同時に処方されていれば、薬剤師なら、猫も杓子も、
併用禁忌に気がつき、疑義照会を行うだろう。
この一件を経験してのち、残薬への視野が少なからず身についたと思う。

 「今日の薬は、今の状態・状況に応じて処方されています。
人にあげたり、残った薬を勝手にのんだりしないでください。」といった
基本的な説明を、我々は普段ないがしろにしているのではないだろうか?
どんなにすばらしい服薬支援を行っていても、それでは画竜点睛を欠く。

 
 また、薬歴のフェイスシートの特記を充実させることも対策となり得る。
薬を溜め込む傾向(+)、薬を自己調整する傾向(+)、CYP3A4阻害薬服用中など。

 『学問の要諦は、それを現実に活用できるかにかかっている。
  現実社会に活用できない学問は、無学に等しい』(*1)

 
 薬剤師の知識を患者のために活用できるか?
服薬支援もそのための薬歴も常に創意工夫が必要であると思われる。

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*1:『学問のすすめ』福沢諭吉=著、岬龍一郎=訳・解説

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おすすめポイント:
いつの世も変わらない原理原則がある

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著者:福沢 諭吉

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2008年11月 7日 (金)

睡眠薬のTmax

睡眠薬に関する質問って多いですよね?
睡眠薬が効かないって相談されたら、どうします?
まずは、服用状況の確認でしょう!

CASE 3

  70歳女性
  既往歴:不眠症
  他科受診:眼科  併用薬:カリーユニ点眼液

 定期処方:
  Rp1)マイスリー(5)1T/1xvds  14TD

  患者のコメント:
 「最近、この薬、あまり効かないみたい。2つ飲んでもいい?」

 
 薬剤師とのやりとりで得られた情報
  ①毎日22時に薬を服用し、床について布団の中でTVを見ている。
  ②「最近の22時台のTVはおもしろい」とコメントあり。
  ③寝ようとした時(23時くらい)には、なかなか眠れない。

 
□CASE 3の薬歴
 ♯1 マイスリーの服用タイミング
  S)マイスリーが最近効かない。2つ飲んでもいい?
  O)22時にマイスリー服用後、布団の中でTVを見る
   「最近の22時台のTVはおもしろい」
   23時頃に寝ようとして眠れない
  A)Tmax=0.8hr  服用タイミングに問題あり
  P)マイスリーの効果が最も出る時間にTVを見ているために
   効果が鈍っている可能性がある。
   最近の22時台のTVは確かにおもしろいので、
   23時に服用してみては?と提案。

□解説
 超短時間型の睡眠薬は、健忘などの副作用防止の為、床に入る直前に服用するように指導するのがセオリーである。今回のCASEでも、初回はセオリー通りの指導を行い、患者も指示通り服用していた(はず)と思われる。

 
 しかし、薬識は常に変化する。Tmaxを過ぎた状態では、薬も本来の力を発揮できないケースもあり得る。実際、この患者は薬の増量・変更することなく、ぐっすり眠れている。23時にマイスリーを服用するように改めた結果である。

 超短時間型の睡眠薬のTmax マイスリー・アモバン:0.8hr/ハルシオン:1.2hr

□考察
 「薬剤師はまじめで几帳面。」
 先日、あるレセコンメーカーの営業マンに言われた言葉だ。
まじめが故か、確かに患者の質問にそのまま答えるケースが多いように感じる。

 「2Tまで飲めないことはないですが、Drと相談して・・・」
Drより薬剤師を信頼して(話しやすくて)相談してくれていたとしたら、患者は残念だろう。

 患者がなぜ、そんな質問をしたのか? 
 その背景を探り、薬剤師としての見解を伝えていきたい。

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2008年11月 3日 (月)

キレート or 吸着

自分で書いた昔の薬歴って
なんで?勉強が足りない!恥ずかしい~
って思うことありません?

もちろん、訂正・削除は改ざんですから・・・
でも、ブログなら大丈夫ですよね。

CASE 2

 50歳男性、内科受診中
 既往歴:胃潰瘍・脂質異常症
 他科受診:なし  併用薬:なし

 定期処方:  
 Rp 1)プロテカジン錠10mg 1T/1xA
 Rp 2)プロマック顆粒 1g/2x
 Rp 3)メバロチン錠10mg 1T/1xM        

  処方変更:Rp 3)→Rp 4)
 Rp 4)クレストール錠2.5mg 1T/1xM

 患者のコメント:
 悪玉コレステロールがちょっと高いので、
 薬を少し強くしておくって。
 遺伝あるから仕方ないね。

 
 患者から得られた情報:
 メバロチン錠10mg服用・コンプライアンスも良好だが、
 LDL-C:153mg/dL。
  肝・腎機能、CPKすべてNP

 
□CASE 2の薬歴
 ♯1 クレストールによる横紋筋融解症
  S)悪玉コレステロールがちょっと高い
  O)LDL-C:153mg/dL
      メバロチン(10)→クレストール(2.5)
      遺伝(+)で薬変更も仕方ないと受け入れている
  A)横紋筋融解症
  P)脱力感・立ち上がれない→中止・受診
   コーラ色の尿→中止・水分をたくさん摂って、すぐ受診

 # 2 キレートによるクレストールの効果減弱 この内容は誤り
  O)胃潰瘍にてプロマック服用中
  A)添付文書にはZnの記載はないが、
   クレストールとのキレートも考えられる。
  P)念のため、クレストールとプロマックの服用間隔を
   2時間以上あけて

□解説
  CASE 2のPOINTは2つ。

  1つ目は、#1 の強めのスタチン変更による横紋筋融解症。
  
  もう1つは、#2 のクレストールの相互作用。
  添付文書の関連部分は、下記の通り。

 「制酸剤
   水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム
  臨床症状・措置方法
   本剤の血中濃度が約50%に低下することが報告されている。
   本剤投与後2時間経過後に制酸剤を投与した場合には、
  本剤の血中濃度は非併用時の約80%であった。」

  当時、上記内容について、アストラゼネカのMRより、
 「おそらく、キレートでしょう」と説明があり、真に受けていた。
 キレートならキノロン同様にクレストールもあり得ると考え、#2の服薬支援に至る。

  しかし、#2は誤りである。クレストールとAl,Mgはキレートではなく、吸着によるものだからである(* 1)。つまり、Znはチェックフリーである。

 
□考察
 ADMEのAには、キレート・吸着をはじめ、結合・腸内細菌叢・消化管運動・消化管pH・トランスポーター(P-gp・PEPT1・OATPsなど)等の様々な問題がある。中でも、キレートと吸着は遭遇率が高い。

 Al,Mgは、ニューキノロンやテトラサイクリン以外では、キレートより吸着による薬効低下が多い。アレグラとAl,Mgも吸着。セフゾンとFeはキレートだが、Al,Mgは吸着である。

 
 キレートと吸着の服薬支援は、対象とする金属イオンを間違えなければ、同じである。故に、混乱してしまっているCASEもあるのではないだろうか?

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*1:『薬の相互作用としくみ』

薬の相互作用としくみ 第8版

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相互作用は理解するのにオススメ。
図解は決して多くはないが、読み込めば原理から理解できる1冊。

薬の相互作用としくみ 第8版

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