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2008年10月30日 (木)

消化性潰瘍(NSAIDs-ulcer)

痛み止めを飲んでいると胃が悪くなる。
患者さんでも、なんとなくわかっていること。
薬剤師が関わることで、もっとリスクを減らせれば。

CASE 1

  77歳女性、内科受診中
 既往歴:脳梗塞・狭心症・萎縮性胃炎
 他科受診:なし  併用薬:なし

 定期処方:
 Rp 1)バイアスピリン錠100mg 1T/1xM   
 Rp 2)アンプラーグ錠100mg 2T/2x
 Rp 3)ケタスCap10mg 3P・
シグマート錠5mg 3T・ムコスタ錠100mg 3T/3x      
 Rp 4)プロテカジン錠10mg 1T/1xA   
 Rp 1)~4) 28TD
 Rp 5)SG顆粒 1g/1x頭痛時 14回分
  
 臨時処方:
 Rp 6)マクサルト錠 1T/1x頭痛時 5回分

 ご主人が来局
 「最近、頭痛がひどいみたいで、白い粉では効かないみたい。」
 「Drが偏頭痛の特効薬を出しておくって。」

 疑義照会を行い、Rp 6)→Rp7)へ変更となる旨を、患者へ説明。

  Rp 7)ボルタレン錠25mg 1T/1x頭痛時 5回分


□CASE 1の薬歴
 ♯1 ボルタレンによるNSAIDs-ulcer
  S)頭痛ひどい。SG顆粒では効かない。
  O)ボルタレン追加
    バイアスピリン・アンプラーグ・ケタス服用中
    高齢
  A)NSAIDs-ulcerのリスク大
  P)ボルタレン服用時は、空腹時を避ける(または牛乳で服用)。
    胃もたれ・食欲低下・胃痛・黒色便→ボルタレン中止・受診

□解説
  CASE 1のPOINTは2つ。

  まず、マクサルトにより脳梗塞再発の恐れがあること(病態禁忌)。
この問題に対しては、疑義照会で対応した。
薬歴の記載については、処方薬印字の欄(薬歴の左側)に過程を記載した。

  次に、ボルタレンの追加処方について。
重篤副作用疾患別対応マニュアル(*1)によると、NSAIDs-ulcerの患者側のリスク因子は       

      ①65歳以上
      ②消化性潰瘍の既往
      ③抗凝固薬・抗血小板薬の併用


であり、今回のCASEでは①と③が当てはまる。
 また、このCASEでは、定期処方としてプロテカジン錠10mgとムコスタ錠を服用しているが、NSAIDs-ulcerの予防の為には、PPIもしくは高用量のH2-Bが必要である。
 さらに、ボルタレンはNSAIDsの中でもPG産生抑制が強い。
  (ボルタレン>ポンタール、インドメタシン>ロキソニンの順に強い (*3))
  以上を踏まえ、NSAIDs-ulcerのリスクは大きいと判断し、服薬支援を行った。

 服薬支援の内容は2つ。
  ①NSAIDs-ulcer予防の服用方法として、空腹時を避ける(または牛乳で服用(*3))。
  ②NSAIDs-ulcerの初期症状を伝え、重篤化を防ぐこと。

□考察
  重篤副作用疾患別対応マニュアルによると、NSAIDs-ulcerの好発時期は服用初期、特に最初の1週間が高率である。

   また、どんぐり工房の菅野彊先生の提唱する「副作用の機序別分類」(*2)では、NSAIDs-ulcerは「青信号の副作用(薬理作用の過剰発現)」と解釈できる。
となると、服用初期や増量時に注意が必要となる。

   以上より、風邪などでNSAIDsが処方された時にも、NSAIDs-ulcerのリスクのある患者に対しては、初回に適切な服薬支援をしておくことが必要と思われる。

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*1:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構     http://www.info.pmda.go.jp/juutoku/juutoku_index.html
*2:『薬剤師のための添付文書の読み方 10の鉄則』
*3:『ポケット医薬品集 2008年版 』
2006年版で終了予定でしたが、利用者の熱い要望に応えた形で、復活しています。

ポケット医薬品集 2008年版 (2008)

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