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2011年3月18日 (金)

透析導入のタイミング

参加勉強会:第20回熊本腎と薬剤研究会
        「Dr.ジンゾーの腎と透析の基本講座」
日時:2011年2月17日 19:00~
場所:熊本県薬剤師会館

 「クレアチニンがどのくらいになったら、透析になるんですか?」 投薬の際、こんな質問にときどき遭遇する。えてして、このような質問をしてくる患者さんはまだまだ透析を考えるようなレベルではないことが多い。なので、安心してもらうようにお話することが多い。 

 しかし、きわどい患者さんには「クレアチニンだけでは一概には言えません。先生の判断によるところが大きいですね」とわかったような、わからないような回答に終始することもままある。

 ‘先生の判断’。この部分についてのお話を講演の質疑応答の中で伺うことができた。透析導入のタイミングの質問に対して、先生は「私見ではあるが」と断りをいれたうえで、「クレアチニンの数値より臨床症状で判断する」と返答された。

 クレアチニンは腎機能というよりも、そのもの自体はゴミにすぎない。掃除をしていない金魚鉢を想像してみる。糞などのゴミが多くとも、じっとしていればゴミは舞い上がらず、金魚は上のほうで生きていける。食事量が多かったり、運動過剰ならばそうはいかないが、クレアチニンだけなら、食事療法でなんとかいけることもある。クレアチニンクリアランスが1ケタでも3年もったケースもあるそうだ。

 では、検査値はまったく役に立たないのか。そうでもないらしい。先生が着目している数値がある。それは「重炭酸イオン」だ。これが20以上あるなら透析は不要であり、10を切るようなら透析は必要である。

 つまり、酸がたまってくること(アシドーシス)が問題なのだ。

 なるほど。納得はいったが、患者さんからの質問には‘先生の判断’としか答えられそうにない。薬剤師としてはこの手の質問に直接答えようとはせずに、納得して服用してもらえるようなアプローチを考えていきたい。

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