リレンザが効かない!?
タミフル・リレンザは解熱剤ではない
この誤解は根強い
熱が急激に下がるのは副作用かもしれない
CASE 44
18歳 男性
他科受診:なし 併用薬:なし 副作用歴:なし
処方内容
Rp1)リレンザ 4BL / 2x朝・夕食後 5日分
2)カロナール錠300mg 1T / 1x発熱時 5回分
投薬2日後にTEL:
「リレンザでは熱が下がらない。以前、タミフルを飲んだときには1日で下がった。
タミフルでなくて大丈夫か?」
薬歴より得られた情報:
① 平成17年12月タミフル服用歴あり
② 2日前にリレンザを投薬。薬局にて1回分(2吸入)実施。手技に問題なし。
患者から得られた情報:
① KT:38.6℃ 夜になると高くなる。
② 熱以外に症状はなく、食事も取れている。
② 手技、用法・用量は問題ない。
□CASE 44の薬歴
#1 リレンザへの誤解
S) リレンザでは熱が下がらない。以前、タミフルを飲んだときには1日で下がった。
タミフルでなくて大丈夫か?
O) H17.12にタミフル服用歴あり。
リレンザの吸入手技、用法・用量NP。
2日経過し、熱(KT:38.6℃)以外症状なし。
A) 抗ウイルス剤への理解が必要
P) リレンザやタミフルは解熱剤ではありません。
ウイルスの増殖を抑えて、インフルエンザで苦しむ期間を短くする薬です。
そのまま吸入を続け、高熱できついときはカロナールで対応してください。
□解説
新型インフルエンザ騒動でおざなりになってはいるが、10代へのタミフルの投与は原則禁忌となっている。そこでリレンザが選択され、投薬の際は納得して帰られている。熱が下がらないことと過去に経験したタミフルの効果(ここではそう表現しておく)から、「タミフルでなくて大丈夫か」との電話を受ける。
‘タミフルやリレンザは熱を下げる’といった誤解は根強い。「どのくらいで効きますか」との質問の意も同じだろう。そこで、リレンザの吸入手技や用法・用量そして患者の全身状態を確認してうえで、リレンザの薬識の補正を行っている。
□考察
タミフルが登場したとき、ほんとうに驚いた。‘タミフルは効く’。まさに特効薬。高熱がすっと下がるからだ。ウイルスの増殖を抑えれば、きっと身体が発熱しなくても済むんだろうなんて思っていた。
しかしそれは見当違い。タミフルの未変化体が脳内の体温調節中枢を阻害する。結果、熱が下がる。この機序は中外製薬も認めている。タミフルの副作用に‘低体温’もある。これが‘タミフルは効く’の正体と考えればスッキリする。
精神神経系の症状はインフルエンザそのものが原因のこともある。それは高熱状態でおこる。しかしタミフルでは、熱が37℃台まで下がって異常行動を起こしているケースがある。やはりタミフルの副作用と考えるのが自然だろう。
タミフルが脳に移行することはよく知られている。最近は患者も知っている。ではリレンザはどうだろうか。リレンザはBAも低くほとんど吸収されない。理論的には低体温も起こらないはずだ。添付文書にも記載はない。
ところがGSKに確認すると、なんとリレンザでも数例ではあるが低体温の報告があるそうだ。たった1度の吸入で39℃から34℃台になった症例もある。全身性の副作用は考えにくいが原因は不明…。
薬剤師の目からみれば、安全性ではリレンザが一枚も二枚も上手だ。しかし過信は禁物。患者を安心させようと言い過ぎてはいけない。過ぎたるは及ばざるが如しである。
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