2016年8月19日 (金)

日経DI関連記事(特集とクイズ本)

DIは相互作用特集。
DIクイズは循環器疾患篇。
どちらもちょっとずつ登場!

【日経DIプレミアム版8月号】

2016年8月号

*日経DIデジタルに加入している方はリンクで飛べます。

【DIクイズ循環器疾患篇】

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2016年8月12日 (金)

ザイティガ錠の併用注意について

併用薬のチェック。
相互作用の項目の確認だけでよいのか?

ザイティガ服用患者の低カリウム血症を回避する

CASE 184

男性 80歳 

他科受診:泌尿器科  併用薬:
Rp1) ザイティガ錠250mg  2錠
    1日1回 食事の1時間以上前または食後2時間以降
Rp2) プレドニゾロン錠5mg  1錠
    ラベプラゾール錠10mg 1錠 分1 朝食後

処方(3は定期、4が追加):
Rp3) ロサルヒド錠LD 1錠 分1 朝食後  28日分

Rp4) ツムラ小青竜湯エキス顆粒 7.5mg  分3 毎食前  28日分

患者のコメント:
「水みたいな鼻水がスタスタと。なにかに反応しているんだろうって」

疑義照会:
(内容)ザイティガ服用中のため、低K血症のリスクを避けたい
(回答) 眠くならない薬を希望されたので
     Rp4)→フェキソフェナジン錠60mg 2錠 分2 朝・夕食後 へ変更

□CASE 184の薬歴
#1 フェキソフェナジン初回服薬指導
 S) 水みたいな鼻水がスタスタと。なにかに反応しているんだろうって
 O) 低K血症回避のため、疑義にてツムラNo.19→フェキソフェナジン
   眠くならない薬を希望。果実ジュース→あれば飲むくらい
 A) フェキソフェナジンが最適だろう。フェキソフェナジン初薬。
 P) 抗アレルギー薬の中ではもっとも眠くなりにくいタイプ。
   AJやOJなどの果実ジュースの服用で効果減弱。
   避けるもしくは服薬後2時間以上あければOK。
 
□解説
 前立腺癌にてザイティガを服用している患者で、通常の用量よりも少ない量にて継続中。当局からはロサルヒド錠のみ。この時点ですでに、利尿剤との併用になっていた為、Kの動向には注意していた(4.0mEq/L、腎機能もNP)。

 今回、さらに甘草含有の漢方薬が追加になってしまう。小青竜湯は甘草を3g/日も含有しており、芍薬甘草湯についでエキス製剤の中では多い。しかも28日分。そこで、低カリウム血症のリスクを回避するために疑義照会を行う。

 患者が眠くならないモノを希望したために漢方薬を選んだ、ということだったので、眠くなりにくいフェキソフェナジンを代替薬として提案し、採用となった。フェキソフェナジンは果実ジュースの併用でAUCおよびCmaxが60~70%も減少することが報告されており、それを回避することを中心に初回服薬指導を行っている。
 
□考察
 ザイティガの相互作用をのぞくと次のような記載になっている。

Z1

 利尿薬や甘草含有の漢方薬といった記載は見当たらない。ところが、慎重投与の2)には具体的な薬剤名こそないが、次のように注意喚起がなされている。

Z2

 ここには“併用薬”としっかりと記載されている。添付文書のつまみ喰いだけではダメ、と言われれば確かにその通りなのだが、それ以前にやっぱり不親切な気が・・・。ちなみに「ザイティガ適正使用ガイド」には次のように注意換気がなされている。

Z2_2

 患者の併用薬とそれにまつわる情報。そういったものはセットにしてフェイスシートで管理するに限る。ザイティガのような薬それ自体を僕は滅多に投薬することはないのだから。  

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2016年8月 5日 (金)

2016年8月のコラム その1 ~CIMが関与する相互作用~

2016年8月の薬局にソクラテスがやってきた」その1
CIMによるCYP阻害作用とドーズの関係。
CIMが関与する相互作用を俯瞰する。

【第65回】


 CYPによる薬物代謝の阻害の程度、それは阻害薬の用量に依存する。その際たる例がシメチジン(CIM)だ。CIM400mg/dayと海外文献で目にする1,000mg~1,200mg/dayでは、代謝阻害の程度がまったく異なる。

 では、CIMのドーズで対応の線引きをすればよいのか? 健常人はそれでいいかもしれない。が、CIMが腎排泄型の薬剤だ。その関係はCIMとメトホルミンの相互作用でも同様と考えたほうがいいだろう。

【第66回】


 CYPが関与する相互作用というのは、変化の大きいものが多く、かつ予測しやすい。ゆえに、もっとも警戒すべき相互作用ではある。

 CYP阻害薬やMATE阻害薬、こういった名称がつくと、その相互作用はイメージしやすい。しかし、薬が生体に影響を与える以上、PKやPDのいろいろな場面で相互作用が起こっている。頭の整理におススメの一冊。

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2016年7月29日 (金)

主人公が持ち歩いているモノは?

「部屋を出る時、拳銃の中から弾丸を一つ、抜き取った。私はそれを、自分の守りのように、取っておこうと思った」(P. 173)


銃 [ 中村文則 ]
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 「昨日、私は拳銃を拾った」この最初の一文が僕をこの物語に引き込むと同時に、僕はある小説を思い出す。夏の葬列 [ 山川方夫 ]に収められている短編『お守り』だ。

 『お守り』に登場する関口はダイナマイトを所持している。関口は言う。「ああ、なんという画一性!」「ぼくは任意の一点なんかではない」。そして、他の誰でもない自分をつかまえるために手に入れたお守り、それがダイナマイトだった。

 「みんな、なんとかかんとかいっても、規格品の生活の外に出ることができまい。でもおれは、いざという気になりゃ。いつでもこんな自分もお前たちも、吹きとばしてやることができる・・・・・・こっそり自分がそんな秘密の力を握っていること、考えあぐねた末、それがやっとみつけた僕の支えだったわけさ。つまり、これがぼくの特殊性さ」

(山川方夫『夏の葬列』集英社文庫 P. 43)

 特殊性。そう、関口は積極的にそれを手に入れる。しかし、じぶんそっくりの人間が同じくダイナマイトを持っていたことを知り、それはもうお守りでもなんでもなくなってしまう。

 これに対し、“私”は偶然、銃を手にすることになる。偶然もたらされた銃、その「吸い込まれるような存在感」が“私”に「畏怖の念」を与える。そして、「可能性を手中に収めたこと、その刺激の固まりこそが重要である、実際にそれをするかどうか、したいかしたくないかは問題ではなかった」はずだった。だが、その非日常性が明らかに“私”を変えていく。

 モノを所有することで、どちらの話も主人公が変わっていくのだが、その変わり方が違う。銃はさらに、“私”の内部へと深く浸透していく。

拳銃は私に、早く撃つことを要求した。拳銃は私の全てだった。拳銃のない私は無意味であり、私は拳銃に激しい愛情を向けていた。が、拳銃は、私に冷たかった。私がその黒に覆われていくことにも、拳銃には関心がないような、そんな気がし、私は発狂しかけた。そして、私は拳銃を使っているのではないのだ、と思った。私が拳銃に使われているのであって、私は、拳銃を作動させるシステムの一部に過ぎなかった。

(中村文則『銃』河出文庫 P. 168)

 サルトルの「実存は本質に先立つ」を彷彿とさせる。拳銃は殺人という思想を内包する。そのためにある。一方、人間はまず実存し、あとになってはじめて人間となる。自ら作るところのもの以外の何ものでもない。ここから選択、自由、責任、孤独、不安といった派生概念が生まれることになる。

 “私”は選択したはずだった。そして、「安堵と悲しみの入り混じった、不思議な嗚咽」をもらし、泣く。銃を捨てることを選択した“私”は「自分が存在しているということを、よく噛みしめるようになった」。“私”はようやく人間になろうとしていたのだ。だが、自由をはき違え、責任を逃げにすりかえようとして、この小説は終わる。

 「おかしいな」「おかしいな」というフレーズが余韻とともにフェードアウトしていく。

 読み終えて、こうも感じた。ダイナマイトと銃。なんだか資格と崇拝の話のようだ、と。そして、堀江敏幸の言葉を思い出す。「個性的たろうとする者は、要するに凡人なんだ」。僕ら凡人の悲しい事実。

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2016年7月22日 (金)

コラムへの質問の回答と勉強会のご案内

2016年7月の薬局にソクラテスがやってきた」その2
メトホルミンの体内での動きをトレースしてみる
で、お寄せいただきました質問への回答です!

【グリーンブックについて】

記事で紹介されていた日本腎臓病薬物療法学会誌の特別号(通称:グリーンブック)は、今からでも学会に入会すれば手に入れることが可能でしょうか?

 今からでもOKです。今年もうすでに2冊の学会誌が発行されていますので、学会の会計年度末である8月31日までに会員になればすぐに2冊(うち1冊が特別号)が送られてくるはずです。

 また、じほうから発行された『腎機能別薬剤投与量 POCKET BOOK』は、じほうが会員全員(1400冊)に配布することを条件に学会が作成した本ですので、会員数が1400人を超えない限り、もらえるはずです。

 ということは、8000円の年会費を払えば、6000円相当の特別号(グリーンブック)と税込み3456円のPOCKET BOOKがついてきますので、今年の会員は1500円程度がタダでもらえるのと一緒ということになります。

 なんてお得なのでしょう! 入会の手続きはこちら


【ある薬学生さんからの質問】

臨床現場においての薬を扱う薬剤師の理論的な説明に深く感銘を受けております。私はある薬学生なのですが、実は、なかなか文章における理論的な説明に乏しく、困っています。科目ごとのかかわりを相互に見ることでの理解は可能であるのですが、ことそれの流れを説明することが難しく感じております。メトホルミンにおける薬物動態イメージトレースと同様に何をどのように考えて、理論を持っていくのかのコツとかをもし教えて頂ければ、ありがたいので、お願いします。自分だけではなく、教えた人みんながわかる説明ができるようになりたいのでよろしくお願いします


 学生のうちは情報がフラットなのかもしれませんし、現場に出ると、環境によって、得意な分野や薬剤が出てきます。そういうものなら、知識の断片をうまく組み合わせることができるようになるのではないか、と想像します。そこから始めていけばいいかと。

 コツと言われてもよくわからないのが本音でして、知識の断片がいっぱいあれば、それらが自ずとつながるようになってきます。そのときに動態パラメータがあれば、肉付けした内容でイメージトレーシングができるというわけです。

 これから予定されている参考になる勉強会を紹介しておきます。ちょうどいま扱っている内容とマッチしますし、とっても期待できる内容です。

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2016年7月15日 (金)

2016年7月のコラム その2 ~トランスポーターと薬物動態~

2016年7月の薬局にソクラテスがやってきた」その2
薬物トランスポーターが動態にどう関わっているのか。
トランスポーターの相互作用がイメージしにくいのは?

【第64回】


 トランスポーター第2弾は、トランスポーターが薬物の動態にどのように関与しているのか、メトホルミンをイメージトレーシングしてみました。

 トランスポーターが関与した相互作用が起きる臓器というのは、その薬の標的臓器とは限らない。こういったこともトランスポーターが関与する相互作用がわかりにくい理由の一つなのかもしれません。

3


 記事の前半で使った資料は下の写真の特別号です(色は緑です)。日本腎臓病薬物療法学会にはぜひ今後もアップデートしていってもらいたいものです。

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2016年7月 8日 (金)

日本全国の慢性疾患患者の薬識がゆらいだ日

薬識は心の中にある。
ゆえに、薬識は常にゆらぐ。

日本全国で患者の薬識がゆらいだはず!

CASE 183

男性 60歳 

他科受診:なし  併用薬:なし

定期処方:
Rp1) バイアスピリン錠100mg  1錠 
    エナラプリル錠5mg  1錠 
    トラゼンタ錠5mg  1錠      分1 朝食後 28日分

Rp2)メトホルミン錠500mgMT  2錠 分2 朝・夕食後 28日分

Rp3)クレストール錠2.5mg  1錠
    ニフェジピンCR錠20mg  1錠 分1 夕食後 28日分

患者のコメント:
「ちょっと聞いていい? 週刊誌みた?
 クレストールを飲むと腎不全になるって本当?」

週刊誌:
飲み続けてはいけない薬のリスト①
「クレストールは腎不全になる可能性もある」(佐藤氏)

患者や薬歴から得られた情報:
① 医師には相談していない
② クレストールは不安を感じながらも続けている
③ 心筋梗塞歴(+)

□CASE 183の薬歴
#1 クレストールの薬識を是正する
 S) クレストールを飲むと腎不全になるって本当?
 O) 週刊誌を見て、不安を感じつつも服薬を続けている
 A) クレストールの薬識ケアが必要!
 P)逆です。クレストールが腎臓を悪くするのではなく、腎臓の悪い人がクレストールを服用すると、思った以上に効き過ぎってしまって、副作用の恐れがあるんです。その程度の信ぴょう性です。
 R) 聞いてよかった。心筋梗塞やってるから飲まないといけないよね。
 
□解説
 週刊現代の「飲み続けてはいけない薬リスト」。これを目にした患者のクレストールの薬識はゆらいでいた。つまり、“心筋梗塞の再発予防のために大切な薬”から“飲み続けることで腎不全になる薬”へと。活字になったこういう情報を目にして不安にならないわけがない。

 しかし、その不安は間違った内容の記事によるものと判明している。かつ不安を感じながらも服薬を続けてくれている。であれば、ゆらいだ薬識をまた元に戻せばいい。
 
□考察
 週刊誌第一弾のときの事例。今でも続編が続いているという。最新号では、というよりも新聞広告の見出しが話題を読んでいる。

糖尿病のジャヌビア 脳梗塞・心筋梗塞のプラビックス 高血圧のミカルディス コレステロールのクレストールほか
生活習慣病薬【被害レポート】5年飲み続けたら、こんな「後遺症」が残った

 なんでも記事を読んだ人間によると、スタチン系を続けると筋肉が溶けて腎不全になるから飲み続けてはいけない、と。いや、むしろ何年も飲んでいる人の方が、もうリスクは低いことが多いのだが・・・。

 確かに横紋筋融解症を起こして、適切な処置が取られなければ腎不全に至ってしまう。だが、そうならないように、副作用のモニタリングピリオドを意識した服薬指導を行うわけだし、医師は採血を行うわけだ。飲み合わせだって、お薬手帳などの活用を呼びかけているのはこういう重篤な副作用を引き起こさないためでもある。

 そもそも薬に効果がある以上、副作用もある。どちらか一方を、副作用面だけを煽った、さもすべての人があてはまるような情報を垂れ流す。バランスが悪いといった次元ではなく、もう品がない。品がないから生活習慣病薬をターゲットにするのだろう。だって、それが一番、部数が伸びるわけだから。それでも、そういったゴシップ的記事を読んで不安になった患者に対して、日々、時間をかけて説明していくのも僕らの仕事だと、もう半ばあきらめている。

 一部の施設では、「じゃあ、薬を変えましょう」と応じるときく。週刊誌の情報をもとに処方を変更するなんてことは本当はあってほしくない。だが、患者の理解力の問題もある。どちらにしても僕らにとっては迷惑この上ない話であることには変わりはない。

 話が脱線してしまったが、かように薬識というものは外部刺激によって簡単にゆらぐ。それは薬識の問題が、心の、感情の問題だからだ。とくに僕らは不安という感情にアプローチすることを忘れてはならない。
 

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2016年7月 1日 (金)

2016年7月のコラム その1 ~トランスポーターの取っつきにくさについて~

2016年7月の薬局にソクラテスがやってきた」その1
薬物トランスポーターの記事がすんなり頭に入ってこない理由。
知っておくこととイメージすること。

【第63回】


 CYP阻害薬にも飽きてきたので、今度はトランスポーターに手を出してみました。そもそもなぜトランスポーターはわかりにくいにか? そういうアプローチで迫ってみました。

63fig1rr


 例によって、僕は知識の断片をつなげるために“まとまったものを読む”わけですが、トランスポーターといえば、この一冊です。トランスポーターだけで200ページ以上あります。面白いですよ。


 ところで、P-gpはどのように表現されてますか? 添付文書をのぞいてみると、P-gpの基質であるジゴキシンには「本剤はP糖蛋白質の基質であるため、本剤の血中濃度はP糖蛋白質に影響を及ぼす薬剤により影響を受けると考えられる」とあります。一方、基質であり阻害剤のワソランには、「本剤は P‐糖蛋白の基質であるとともに, P‐糖蛋白に対して阻害作用を有する」となっています。

 “質”とか“‐(ハイフン)”ってあってもなくてもいい? 今回の記事から“P糖蛋白(P-gp)”で統一しようかと思います。それにしても添付文書の表現くらいは統一してもらいたいものです。

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2016年6月24日 (金)

妊婦・授乳婦への降圧薬 ~高血圧治療ガイドライン2014~

飛び込みの患者さんの意外な訴え。
授乳婦さんへおススメのの降圧薬。
ガイドラインにも載ってますよ。

 飛び込みの新患さん。お薬手帳には“アルドメット錠250mg 3錠/分3”の記載。その併用薬に話が及ぶと開口一番、「授乳中に使える血圧の薬って、これだけですか? 他にありませんか? 1日3回も飲まないといけないから・・・」。

 お話を伺うと、妊娠中にはアルドメットを服用しており、出産後は近くの内科で診てもらうように、と。内科医は授乳婦さんに使える薬がわからないから、妊娠中と同じものにしておこう、と。隣の薬局で相談するものの医師の選んだものを、と。そのことがひっかかっていて、他の薬局でも聞いてみようと思い至ったらしい・・・。

 いや、そんなに難しい話じゃありません。ガイドラインにも載ってますよ。いろんな意味で残念な話ですが、せっかくなのでのっけておきます(以下、高血圧治療ガイドライン2014より)。

【妊娠高血圧の降圧薬選択】

Fig1

【授乳が可能と考えられる降圧薬】

Fig2

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2016年6月17日 (金)

「血栓があるのに抗凝固薬は要らないんですか?」

車中泊で血栓ができました。
「血栓予防の薬(抗凝固薬)は必要ないんですか?」
僕たちの病識は・・・。

CASE 182

女性 45歳 

他科受診:婦人科  併用薬:なし(ピルを中止)

定期処方:
Rp1) オルメテック錠20mg   1錠   分1 朝食後 28日分

前回の薬歴より:
① 車中泊、ピル服用、利尿剤服用→左足にむくみと痛み
② エコノミークラス症候群疑いにてB病院へ紹介
③ ラシックス錠20mgと併用薬のピル→中止

患者のコメント:
「左ヒザ裏の下に血栓ができていた。この場所は経過観察と言われました。
血栓の薬とか飲まなくていいんですか?」

患者から得られた情報:
① B病院からの処方薬はロキソニンとムコスタ 各3錠/3xのみ
② 弾性ストッキング着用、車中泊はもうしていない
③ ラシックスやピルは中止のまま

□CASE 182の薬歴
#1 血栓症の病識ケア
 S) 左ヒザ裏の下に血栓ができていた。この場所は経過観察と言われました。
   血栓の薬とか飲まなくていいんですか?
 O) 併用薬:ロキソニン・ムコスタ 
   弾性ストッキング(+)、車中泊(-)、ピル・利尿剤の服用(-)
 A) 不安に対して病識ケア
 P)表在性血栓と深部静脈血栓の違いを説明し安心してもらう。
   ただし、リスクファクターを取り除いておくことが大切。
 
□解説
 いわゆるエコノミークラス症候群は深部静脈血栓症や肺塞栓症のことを言う。この場合は入院下の初期治療などの後に、ワーファリンやリクシアナなどの抗凝固薬の服用が一般的な治療法だ。

 今回のケースでは、血栓はできているが経過観察でよく、薬物療法もNSAIDsによる対症療法となっている。もちろん、血栓症のリスクファクターは排除されている。これは表在性血栓静脈炎への対応だ。

 静脈炎の範囲が短く(<5cm)、深部静脈との結合部から遠く、ほかに血栓症の危険因子がない場合は、下肢挙上やNSAIDsで対症的な治療を行う。それ以外の場合は超音波検査による血栓範囲の評価、抗凝固療法の考慮が必要である。
(今日の治療指針2016 P. 479)

 メルクマニュアルの表在性血栓静脈炎のページにも「深部静脈と違って表在静脈は筋肉に取り囲まれていないため、血栓が押し出されることはありません。したがって、表在性血栓静脈炎はほとんど塞栓症を起こしません」と記されている。

 これらのページを患者といっしょに参照しつつ、患者に安心してもらい、今後も血栓症のリスクファクターに対して注意を払うように指導している。
 
□考察
 TVやラジオなどのメディアでエコノミークラス症候群の危険性が繰り返し放送されていた中で、血栓があると言われ、ロキソニンだけという対応に患者は不安だったようだ。

 一方、僕らも「薬があるからその周辺の病識を形成している」可能性がある。経過観察でよいような疾患で、その疾患の薬も処方されないとなると、僕らがその疾患に触れる機会も少なく、そのあたりの病識が乏しいのは当然といえば当然なのかもしれない。

 こういう機会を捉え、周辺知識を充実させていく。そういったことを心がけていきたいと思う。
 

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2016年6月10日 (金)

2016年6月のコラム ~CYP阻害薬の“強さ”について~

2016年6月の薬局にソクラテスがやってきた
CYP阻害薬の“強さ”の程度について。
役に立つかどうかは距離の取り方しだい。


【第62回】


 強力なCYP阻害薬、中等度の・・・、弱い・・・。その程度はどういうルールで決まっているのか? 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」を参考に記事を進めています。

好評連載「薬局にソクラテスがやってきた」。今回は“CYP阻害薬の強さ”がテーマ。強い/中等度/弱い阻害薬の違いはどこにあるのか?これを知ると、実際の症例への近付き方についてヒントも得られそうです。

【ヒット記事再録】


 コラムの中で触れましたが、イグザレルトの出血リスクはやはりピークと相関しているといわれています。一方、リクシアナはトラフと相関すると言われ、1日1回でよい理由も異なる理論のようです(こちら)。

 【ヒット記事再録】新規抗凝固薬のイグザレルト(リバーロキサバン)、プラザキサ(ダビガトラン)、エリキュース(アピキサバン)の半減期はほとんど変わりません。なのに、プラザキサとエリキュースが1日2回で、イグザレルトだけが1日1回なのです。その理由とは?
##
山本雄一郎の「薬局にソクラテスがやってきた」:薬局で生じる数々の疑問を山本氏がモノローグ調で解き明かすコラム。※記事は2014年に公開されたものです。現状と異なる可能性があります。

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2016年6月 3日 (金)

「未来からのまなざしを受けつつ仕事をする」

「結局いい仕事をしておけば、それは自分ばかりでなく、あとから来るものもその気持ちをうけついでくれるものだ」(P. 9)


しんがりの思想 [ 鷲田清一 ]
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【市民の無能力化とできること】

 こういう仕組みが完備してゆくことで、市民生活において逆にクオリティを大きく損なったものがある。いうまでもなく、≪いのちの世話≫を自力でおこなう能力の喪失である。(中略)ましてや災害時の排泄物の処理方法、雨水を飲料水に変える方法を知っているひとはほとんどいない。災害で食材の流通が止まったときも、じぶんたちで工夫して野山の植物を調理するのではなく、配給を待つだけだ。
(中略)
 では、トラブルが起こったとき、サービス劣化したときにわたしたちにできることは何か。皮肉にも行政やサービス企業の担当者にクレームをつけることだけなのである。

(鷲田清一『しんがりの思想』角川新書 P. 62-65)
 
 熊本震災、本震の直後、実際にこの状況を体験することとなった。そして僕らは無力だった。断水が続き、結果、給水に救われる。給水所に並ぶこと2時間、一家族あたり1回4Lの水を手にした。

 行政の職員が僕らの持参した容器に水を入れてくれる。彼らは休むことなく、淡々と作業をこなしていた。多くの人は感謝の言葉を告げていたように思う。だが、中には「まだ、水道はなおらんのか!」とクレームをつける人間もいたのだ。職員は「すみません。がんばっていますので、もう少しお待ちください」と大人の対応だった。でも、謝る必要なんて、これっぽっちもない。災害なのだし、この状況は僕らが選択してきた結果なのだから。
 
 
【石工の矜持】

「ほめられなくても自分の気のすむような仕事はしたいものだ」とも、この職人は語っている。この言葉を承けて、宮本はこう書きついでいた。「誰に命令せられるのでもなく、自らが自らに命令することのできる尊さをこの人たちは自分の仕事を通して学びとっているようである」、と。
 石工は、田舎を歩いていて見事な石の積み方に心打たれ、将来、おなじ職工の眼にふれたときに恥ずかしくないような仕事をしておきたいとおもった。このとき石工のこだわりはじつに未来の職人に宛てられていた。これに対して、目先の評判や利害ではなく、何十年か先の世代に見られてもけっして恥ずかしくない仕事を、というそのような矜持をもって仕事に向かうひとがうんと減ったのが現代である。未来世代のことをまずは案じる、そういう心持ちをほとんど失っているのが現代である。
 
(鷲田清一『しんがりの思想』角川新書 P. 9)

 生き残ること、利益を上げること、どちらも大切なことではある。でも、だからと言って、この石工のような矜持を失ってはならない。目の前のことだけに追われていてはいけない。仕事の一部は未来の薬剤師のために。

 常に最高の自分を差し出すべく努力をしていく中で、一つだけ忘れてはならない観点がある。それは、目の前の仕事だけに没頭してしまわずに、常にその一部を未来の薬剤師のために捧げてほしいということだ。今、自分のことだけを考えるのではなく、未来の自分、未来の薬剤師のための種を蒔くのである。それを絶対に忘れないでほしい。

(岡村祐聡『新・服薬ケア概論 エッセンシャルズ』服薬ケア研究所 P. 89)
 

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2016年5月27日 (金)

乳がん治療薬の飲み合わせ

“TAM=SERM”
“SERMとAI剤”
他科からの併用薬に注意


【TAM-CYP2D6阻害薬】
 
 2016/5/19のコラム 「ノルバデックス+ベタニス=薬効増強?減弱?」で、ノルバデックス(TAM)を服用している患者に対して、安易なCYP2D6阻害薬の併用を避けましょう、と提案しました。他科からの処方でのこういう事例に対して、僕たちは注意しなければなりません。


【TAM=SERM】
 
 もう一つ、違うケースがあるとすれば、ノルバデックスを服用している患者に対してのエビスタやビビアントといったSERMの処方。これは同じ薬効群の重複投与になってしまいます。まだ遭遇経験はありませんが、じゅうぶんに考えられます。こういったケースを回避するには、ノルバデックスの処方を切ったDrが骨粗鬆症まで合わせて診てくれるのが理想ですね。


【SERM-AI剤】
 
 さらに、この分野で注意したい飲み合わせがあります。それがSERMとAI剤の併用です。詳しくは、Blog「アリミデックスとエビスタの併用を回避する」(2013年10月11日)を参照ください。

 アリミデックスとノルバデックスを併用すると、アリミデックス単独よりもその乳癌再発予防効果がわるくなってしまうこと(ATAC試験)を受けて、ノルバデックスと同じSERMであるエビスタについて、ガイドラインには次のような記載があります。

 一方,ラロキシフェンは閉経後女性における骨粗鬆症の治療薬として日本でも広く使用されている。しかし,ATACにおいてタモキシフェンとアナストロゾールの併用で有害事象が増加し,しかもアナストロゾールの乳癌再発抑制効果を阻害することが明らかとなった。ラロキシフェンも理論上アロマターゼ阻害薬との相互作用が懸念されるため,アロマターゼ阻害薬使用時にラロキシフェンを併用することは推奨されない。 乳がん治療ガイドラインCQ42より)

 ビビアントの記載はまだありませんが、エビスタと同様と思っていいでしょう。

 一方で、SERMの併用により、動態に影響が出てしまうアリミデックスだからダメなのであって、影響の少ないアロマシンなら併用に期待できる、といった報告もあるようです。

 結論として、専門医が行うAI剤とSERMの併用には口を出さず、あくまでもAI剤服用中の患者に対して、他科からのSERMの処方を防ぐ。これが僕のスタンスです。
 

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2016年5月20日 (金)

2016年5月のコラム ~CYP2D6阻害薬と遺伝子多型について~

2016年5月の薬局にソクラテスがやってきた
CYP2D6に関する話題。
阻害薬と遺伝子多型について。

【第61回】


 薬効が増強して副作用が発現するようなら、患者でも気がつくことができます。でも、薬効が減弱するとなると・・・。そして、その結果どうなるかは、数年後の再発率で考えるしかないわけです。

 でも、理論だけで、この手の問題は、この問題の場合は回避することができます。そして、飲み合わせの専門家こそが薬剤師だ、と僕は思っています。

CYP450の相互作用では、阻害薬と基質薬を併用すると、基質薬の過量服用のような副作用を生じることがあります。ただし、例外もあります。また、添付文書に記載されている薬剤以外にも、同様の機序で相互作用を引き起こす可能性があることに注意が必要です。

【ヒット記事再録】


 GFJも大量に飲めば小腸以外でのCYP3A4やP-糖蛋白に影響すると言われています。この記事ではそういう特殊状況下は考慮していませんのでご注意ください。

 
ヒット記事再録】最近登場したNOAC(新規抗凝固薬)であるプラザキサ(一般名ダビガトラン)とイグザレルト(リバーロキサバン)。「同じP-糖蛋白の基質なのに、併用禁忌も、併用注意もなぜ違うんですか?」
##
山本雄一郎の「薬局にソクラテスがやってきた」:薬局で生じる数々の疑問を山本氏がモノローグ調で解き明かすコラム。2014年1月から連載開始。※記事は2014年に公開されたものです。現状と異なる可能性があります。

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2016年5月13日 (金)

震災状況下での服薬中止指示

静脈血栓塞栓症(VTE)とSERM
震災時の治療の優先順位。
僕たちの行為の目的。

CASE 181

女性 70歳 

他科受診:整形外科  併用薬:ビビアント(4月初旬に77日分処方)

定期処方:
Rp1) カムシア配合錠LD   1錠  
    ピタバスタチン錠1mg  1錠  分1 朝食後 28日分

Rp2) レボフロキサシン錠250mg  1錠 分1 夕食後  7日分

患者のコメント:
「夜は車にいるから、ついついトイレを我慢してね」

患者から得られた情報:
① 足のむくみや痛みはない
② ご主人と二人で普通車に車中泊(自宅の壁にヒビがあり余震が怖いため)
③ 水は出ないし、トイレが気になり、夜は水分を控えている

□CASE 181の薬歴
#1 VTEを回避する
 S) ご主人と二人で普通車に車中泊(自宅の壁にヒビがあり余震が怖いため)
 O) 併用薬:ビビアントを77日分、足のむくみや痛みはない
   水は出ない。夜はトイレが気になり、水分を控えている→膀胱炎
 A) VTEのリスク大
 P) 車中泊を止められないのなら、血栓症が起こりやすくなるビビアントを中止。
   水分をしっかり摂って、足を動かす運動などを。パンフレット提供。
 
□解説
 熊本地震の翌週の薬歴。TVでもエコノミークラス症候群の注意が盛んに行われている中でのケース。

 患者は70歳の女性で、静脈血栓塞栓症(VTE)のリスク因子のオンパレード。車中泊(長時間足を動かさずに同じ姿勢でいる)で、水分摂取にも問題があり、おまけに血栓症の副作用のあるSERMまで飲んでいる。これはかなりのハイリスクだ。

 話を伺うと、エコノミークラス症候群が怖い疾患であるとの認識はなく、今すぐ車中泊を止めることも難しそうだった。そこで、併用薬のSERMの中止を指示し、厚生労働省作成のパンフレット(こちら)を用いて指導を行っている。
 
□考察
 震災直後のこの状況で、SERMを続けなければならない理由、僕にはそれが思いつかなかった。骨質をよくしてもVTEを起こすリスクを抱え込んでしまっては意味がない。つまり、この状況での服薬は勧められない。

 震災直後は水分摂取が困難な状況も散見された。別のケースだが、主治医と連絡が取れない場合には、僕の独断で、SGLT2阻害薬の一時中止を指示することもあった。

 そういうことをするには勇気がいる、躊躇してしまう、といった意見が少なからず耳に入ってくる。でも、もしその躊躇で、じぶんの患者がVTEや脳梗塞を起こしてしまったら? 僕が主治医なら、薬剤師に患者を救うチャンスがあったのに何をしていたんだ、ときっと思うに違いない。

 そもそも患者が薬を飲んでいるのはなぜなのか。もちろん、健康でありたいから。ということは、目的は同じだ。僕らは薬を飲んでもらうためだけにいるのではない。また、併用薬の確認は、飲み合わせのチェックだけをすればいいわけでもない。行為のすべては、患者の幸せに繋がっているかどうか。その一点にある。
 

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2016年5月 6日 (金)

「あまり思い詰めないほうが良いこともあります」

「今の技に不足があるのは、そこに至る技、そのまえの技に因がある」(P. 106)


フォグ・ハイダ [ 森博嗣 ]
価格:799円(税込、送料無料)


【少しくらいの濁りはあった方がいい】

 「坊主の私が言うのも、だいぶ筋違いと思いますが、少しくらいの濁りは、あった方がよろしい。この世にあるものは、いかなるものも、必ず無駄なものが混ざっております。なにも溶けていない水はない。なんの匂いもしない風もありません。それでも、それを綺麗な水といい、澄んだ空という。おそらくは、正しい剣、正しい刀も、そのようなものと想像いたします」

(森博嗣『フォグ・ハイダ』中公文庫 P. 361)
 
 どんな仕事でも、真剣に対峙すればするほど、悩み思い詰めるものなのだろう。そんなときに思い出したいフレーズだ。理想には遠く届かなくても、綺麗な水であり、澄んだ空であるならば、きっと方向性だけは間違っていない。ただし、そう判断するのは他者であり、じぶんではないことだけには留意したい。
 
 
【人生には理由などない】

 もともと、都へ行くつもりなどなかった。カシュウが言い遺したのは、山を下りろというだけのことである。山は下りた。山を下りたところには里があって、その里から続く道は、街道へと繋がり、たまたま西へ向かって歩くことになった。そして、道すがら、大勢の者が、どちらへ行くのかと尋ねてくる。面倒なので、都へ行くと答えた。そう答えているうちに、本当の目的になりつつある。それだけのことなのだ。どうしても行かなくてはならない理由などまったくない。
 
森博嗣『フォグ・ハイダ』中公文庫 P. 382

 身も蓋もないかもしれないが、これが人生だ。例えば、僕が薬剤師で生きていかないといけない理由などまったくない。前職であるMRも楽しかったし、向いていたと思う。家族と趣味の都合で薬剤師になった。そして、後輩とつるんでいるうちに後輩にはみっともない姿を見せるわけにはいかなくなった。ただそれだけのことが今の活動へとつながっている。
 

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2016年4月29日 (金)

2016年4月のコラム その3 ~熊本地震本震からの1週間~

2016年4月の薬局にソクラテスがやってきた」(その3)
熊本地震関連コラム6本
どうせ夜は眠れないので書き始めたという側面も。。。

【第55回】 


 DI Onlineコラム「薬局にソクラテスがやってきた」の著者で薬剤師の山本雄一郎氏。4月16日の熊本地震で被災し、物資不足が続く被災地で患者対応に奔走しています。大変な状況の中、震災直後の様子をリポートしてくださいました。避難所生活の長期化が予想される中、SGLT2阻害薬による脱水も懸念しています。

熊本の本震発生から3日目。処方箋を持参せずに慢性疾患の処方薬を求める患者に、どう対応するか――。薬局薬剤師の山本雄一郎氏は、「住」「食」そして「副作用による二次被害のリスク」を念頭に、患者対応を行っています。
 熊本の本震から3日目の夜、「処方箋なしで保険調剤してもよい」という事務連絡が出されました。ある患者さんは、これまで通っていた医療機関にかかれなくなり、薬を求めて初めて来局しました。


 熊本地震から5日目。薬局の近隣の病院が再開しました。医薬品卸の企業努力によって、発注にほぼ問題はない状態に。休診中に避難所を回っていた医師から、「一包化された薬を患者さんに見せられて戸惑った」という話も聞きます。


【第59回】 


 「薬局にソクラテスがやってきた」の著者・山本雄一郎氏による熊本地震の記録。6日目を迎え、診療体制の乱れが落ち着きつつある中、山本氏は前職でもある製薬企業のMRについて思いを馳せます。MRと薬剤師に共通することは--?


【第60回】 


 熊本地震から1週間が経過した4月22日。市内の一部地域では水道が復旧し、コンビニエンスストアには商品が並ぶようになりました。薬局は再び“日常”へと戻りつつあります。

 以上、熊本地震本震の翌日からの6日間。普通の調剤薬局における記録。

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2016年4月22日 (金)

2016年4月のコラム その2 ~ヴィキラックスとCCBの併用はできるかぎり避けよう~

2016年4月の薬局にソクラテスがやってきた」(その2)
CYP3A4阻害薬第2弾!
「リトナ・ブースト」ってなんかの必殺技みたい(笑)

【ヒット記事再録】


 副題をつけるとすれば「機序不明の陰にトランスポーターあり」です。そして、「実に複雑だ」。

 【ヒット記事再録】グリベンクラミドを飲んでいるRさんに、CYPを誘導するリファンピシンが追加になった。そこで「グリベンクラミドの効き目が少し弱くなるかもしれない」と指導したら、後日Rさんは低血糖に…。これは添付文書やインタビューフォームには載っていない作用機序が関わっている、と山本氏は指摘します。
##
山本雄一郎の「薬局にソクラテスがやってきた」:薬局で生じる数々の疑問を山本氏がモノローグ調で解き明かすコラム。2014年1月から連載開始。※記事は2014年に公開されたものです。現状と異なる可能性があります。


【第54回】


 とかく価格ばかりが話題となりがちなDAA治療ですが、僕らはまず飲み合わせに注意しないといけません。

 C型肝炎に対する経口薬治療の選択肢には、ハーボニー配合錠、ヴィキラックス配合錠、ダクルインザ+スンベプラ(併用療法)があります。ヴィキラックスはハーボニーに比べて併用禁忌や併用慎重が多いのですが、それはヴィキラックスにHIVプロテアーゼ阻害薬のリトナビルが配合されているため。その注意点や機序を分かりやすく解説します。

 現在、ヴィキラックスの第4回の市販直後調査状況報告の実施中ですが、投与9日目に多臓器不全により死亡に至った症例が報告されたようです。この症例ではニフェジピンの最大用量80mg/日が併用されていたとのこと。投与開始初日より血圧低下が認められ、6日目にすべての内服薬を中止するも回復することなく死亡。

 やはりヴィキラックスを選択する際には、できるかぎりカルシウム拮抗薬の併用を避けたほうがよさそうです。

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2016年4月15日 (金)

【延期となりました】 「大分にソクラテスがやってきた」のご案内

2016年4月16日15時加筆 

 4月15日0時にアップしました本記事「『大分にソクラテスがやってきた』のご案内」の訂正です。

気象庁は、記者会見で、16日午前1時25分ごろに起きたマグニチュード7.3の地震が「本震」で、それより前のおとといの夜に発生した熊本地震が「前震」にあたるという見解を示しました。

 「前震」って何だよって感じでした。記事をアップした数時間後の「本震」。これがダメージ大でした。今の状況に加え、余震を考慮し、延期となりました。復旧作業も視野に入れ、5月の八戸も延期です。予定されていた皆様にはたいへん申し訳ありませんが、何卒ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。

                                        山本 雄一郎

講演会のご案内。
案内状がインパクトあるな~


 いつも当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。今回は講演の案内です。

 1月の佐賀に引き続き、4月は大分です。今年は自分自身のブラッシュアップの意味も含めて、時間の許す範囲で講演を引き受けました。今後は5月に八戸、7月に札幌、9月に北九州に出没予定です。内容はご来場いただいてのお楽しみということで。

Photo

 懇親会もあります。お時間に余裕のある方はぜひご一緒しましょう。それでは、よろしくお願いいたします。

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2016年4月 8日 (金)

2016年4月のコラム その1 ~アゾール系抗真菌薬の併用禁忌~

2016年4月の薬局にソクラテスがやってきた」(その1)
アゾール系抗真菌薬の併用禁忌まとめ。
併用注意も無視できないものが多いのだが・・・

【ヒット記事再録】


 関連の薬歴公開は「CASE 54 本当の肝機能」(2010/3/26)です。

 【ヒット記事再録】「肝機能をおうかがいしたら、ASTとALTが50くらいだそうです。値がどのくらいになったら、注意すればいいですか?」新人薬剤師のこんな質問に、あなたならどう答えますか。
##
山本雄一郎の「薬局にソクラテスがやってきた」:薬局で生じる数々の疑問を山本氏がモノローグ調で解き明かすコラム。2014年1月から連載開始。※記事は2014年に公開されたものです。現状と異なる可能性があります。


【第53回】


 飲み合わせの確認は残薬まで視野に入れる。早いうちにこういう経験ができたことは僕にとって幸運でした。

 アゾール系抗菌薬の併用禁忌(内服のみ)をまとめておきます。

ジフルカン:ハルシオン・クリアミン・ジヒデルゴット・キニジン・オーラップ

フロリード:ハルシオン・クリアミン・ジヒデルゴット・キニジン・オーラップ
リポバス・カルブロック・バイミカード・ロナセン・イグザレルト・スンベプラ

イトリゾール:
ハルシオン
・クリアミン・ジヒデルゴット・キニジン・オーラップ
リポバス・カルブロック・バイミカード・ロナセン・イグザレルト・スンベプラ・ベプリコール・メテルギン・レビトラ・セララ・レバチオ・アドシルカ・バニヘップ・ベルソムラ・ラジレス・プラザキサ・アデムパス(下線はP-gp関与)

ブイフェンド:ハルシオン・
麦角アルカロイド(
クリアミン・ジヒデルゴット)・
キニジン・オーラップ
・リマクタン・ミコプティン・ストックリン・ノービア・カレトラ・テグレトール・長時間作用型バルビツール酸誘導体(バルビタール、フェノバルビタール)
*カレトラはリトナビル含有製剤として。ということは、ヴィキラックスも。

<ジフルカン(フルコナゾール)>

Jifurukann

<フロリード(ミコナゾール)>

Furori

<イトリゾール(イトラコナゾール)>Itorizoru

<ブイフェンド(ボリコナゾール)>

Bufenndo

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2016年4月 1日 (金)

大事なものほどわからない

大衆人とは? その典型こそ僕らなのかもしれない。
「自己を迷える者と自覚しない者は、必然的に自己を失う」(難破者の思想)



それは全能でありながらその日暮らしなのである。大衆人とは生の計画をもたない人間であり、波のまにまに漂う人間である。したがって、彼の可能性と彼の権力がいかに巨大であっても、何も建設することがないのである。

(オルテガ・イ・ガゼット『大衆の反逆』ちくま学芸文庫 P. 67-68)

 大衆支配の予言の書ともいわれる『大衆の反逆』。本書での大衆人の定義がこれだ(この対極に位置する人間のことを「少数者」もしくは「真の貴族」と表現している)。能力はあるにもかかわらず、自分の方向を見出すことができない。つまり、行動することがない。

 この本を読んで思い出すのは、オルテガより前に大衆社会の予言したニーチェだ。

 「(前略)羊飼いはおらず、群れが一つあるだけ! 誰もが平等を望み、誰もが平等である。そう感じない者は、自分から精神病院に入る。
 『以前は、世の中がみんな狂っていました』―そう言って、お上品な連中がまばたきする。
 賢いので、起きたことはなんでも知っている。だから嘲笑の種が尽きることはない。口喧嘩もするが、すぐに仲直りする。―でないと、胃の具合が悪くなる。
 昼のお楽しみがある。夜の楽しみもある。だが健康には敬意を払っている。
 『わたしたちが幸せをつくりだしたのです』―そう言って、最後の人間がまばたきする」―

 (ニーチェ『ツァラゥストラ(上)』光文社古典新訳文庫 P. 30-31)

 この新訳では「最後の人間」と表現されている(以前読んだ他の翻訳では「末人」とされていた)、これが「大衆」だ。大衆は全能であって、なんでも知っているのに、何かをなすことはない。そして、すべてを煩わしく感じるから、平等を欲しているのだ。

 こういった警句に触れ、大衆にはなりたくない。そう感じる。それは悪いことではない。だが、大衆に対して嫌悪感を抱くようなら危ないかもしれない。なぜなら、大衆人には「大衆は大衆が大嫌い」という特徴があるからだ。

 わたしたちの社会は、たしかにニーチェが予言したとおりの大衆社会となりました。
 ただし、一点だけニーチェの予言ははずれました。それは大衆自身が「ニーチェ主義者」になってしまった「ニーチェ主義的大衆社会」になってしまったということです。まさかニーチェも、自分の説いた「大衆蔑視」の思想が、これほど大衆社会で「受ける」とは思っていなかったでしょうね。
 大衆は大衆が大嫌い。
 それが「ニーチェ主義的大衆社会」のきわだった特徴です。
 (中略)
 ある理論の批評性は、その理論の信奉者が少ないという事実に担保されているんです。

 (内田樹『死と身体 コミュニケーションの磁場』医学書院 P. 181-183)

 日本ではニーチェが受けた。そして日本にはニーチェ主義者がいっぱいいる。自分こそは超人である、と思っている大衆が大衆を嫌っている。

 また、オルテガは「今日の科学者こそ、大衆人の典型だ」とも言っている。

 歴史上前代未聞の科学者のタイプが現われた。それは分別ある人間になるために知っておかなければならないすべてのことのうち、一つの特定科学だけしか知らず、しかもその科学のうちでも、自分が積極的に研究しているごく小さな部分しか知らないという人間である。

(オルテガ・イ・ガゼット『大衆の反逆』ちくま学芸文庫 P. 157)

 その結果、大事なものほどわからないものなのだ、といったことが科学者や専門家には理解できない。そして、ただ科学に没頭するのは逃げである。なぜなら、科学の対象は常に抽象的であって、抽象的なものは抽象がゆえに明晰だからだ。

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2016年3月25日 (金)

2016年3月のコラム その2 ~フルボキサミンはCYP非特異的阻害剤~

2016年3月の薬局にソクラテスがやってきた」(その2)
ヒット記事再録は記念すべき第1回記事。
フルボキサミンは強力なCYP1A2阻害剤であり・・・

【ヒット記事再録】


 関連の薬歴公開は「半減期の長い睡眠薬」(2009/2/13)です。

 【ヒット記事再録】「半減期24時間のユーロジンって、飲むと1日中眠いんですか?」勉強熱心な新人薬剤師からのこんな質問。あなたならどう答えますか。
##
山本雄一郎の「薬局にソクラテスがやってきた」:薬局で生じる数々の疑問を山本氏がモノローグ調で解き明かすコラム。2014年1月から連載開始。
※記事は2014年に公開されたものです。現状と異なる可能性があります。

 懐かしいですね~。これが記念すべき第1回でした。この辺のしくみもベルソムラの登場に伴い理解が深まってきました。


【第52回】


 関連の薬歴公開は「ルボックス ‐ テオドール」(2010/8/20)です。

 テルネリンの相手をどちらにするか迷いました。フルボキサミンかシプロキサシンか。じつはどちらも経験があります。今回はストーリー的にフルボキサミンを選びましたが、このフルボキサミン、現在では新規に処方されることはほとんどありません。

 記事で紹介したように、フルボキサミンは強力な
CYP1A2
阻害剤なわけですが、その正体はCYP非特異的阻害剤。下の表ではCYP2C19にも強い阻害
、CYP3A4、2C9
には中程度の阻害作用を持っています。ということは、併用禁忌以外にも多くの相互作用を考慮する必要があるわけです。

Photo

(古野拓. 臨床精神薬理 2011; 14: 1291-302)


  
* 阻害の程度については、薬物相互作用ガイドラインで示されているものとは若干違っている。そちらでは、フルボキサミンはCYP1A2と2C19は強い阻害薬と同じ記載だが、2C9や3A4では弱い阻害薬となっている。また2D6の阻害薬としての記載はない。

 * その他にも阻害の程度の記載が若干異なるものがあります。ミニ丸さんのブログが参考になります
こちら

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2016年3月18日 (金)

アラミストが壊れている?

アラミスト点鼻液が出ません。
手技の確認そして手技の意味。
理解を促す一枚の写真。

CASE 180

女性 65歳 

他科受診:なし  併用薬:なし

定期処方:
Rp1) アムロジピン錠2.5mg 1錠   分1 朝食後   28日分

Rp2) フェキソフェナジン錠60mg  2錠 分2 朝・夕食後  28日分

Rp3) アラミスト点鼻液27.5μg56噴霧用 2キット

患者のコメント:
「(アラミストが)ときどき出ないことがあるの」

手技の確認:
① 使い始めの空打ちはOK
② 使用前によく振っていない

□CASE 180の薬歴
#1 アラミスト使用前に振ることの意味を理解する
 S) (アラミストが)ときどき出ないことがあるの
 O) 使用前によく振っていない
 A) よく振っていないのが原因だろう。まずその意味を知ることが必要。
 P) よく振ることでサラサラの液体になって噴霧できるようになります。
 
□解説
 アラミスト点鼻液の手技に関する話題。レバーが固いという訴えもよくある。そんなときは両手での噴霧方法を指導するとうまくいく。そして、もう一つがこれだ。「ときどき出ないことがある」このくらいならまだいいが、「液が出ない=壊れている」となることもある。

 今回のケースでは使用前に振っていないことが原因だった。アラミストの中身は粘り気のある懸濁液で、よく振ることでその液体がサラサラになり正しく噴霧できるからだ。

Photo

 
□考察
 薬をきちんと飲めない・飲まない理由の一つに、その薬の必要性を理解していないことがある。つまり、「なぜ、それが必要か」を理解していないから、服薬行動につながらない。

 アラミスト点鼻液に関する今回の訴えも同じ理屈だ。なぜ、その手技が必要なのか。それを理解していないから、おざなりになってしまったのだろう。

 よく振る目的が均一にすることなら、薬は噴霧されるはず。出ないということは壊れているに違いない、となるわけだ。こういうことは、その手技の意味を理解しておくことが対策になる。先の写真はそのよきツールになるだろう。
 

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2016年3月11日 (金)

2016年3月のコラム その1 ~抗インフルエンザ薬の構造式とDPP-4阻害薬の構造式~

2016年3月の薬局にソクラテスがやってきた」(その1)
ヒット記事再録とDPP-4阻害薬の続編。
ともに構造式関連ネタ

【ヒット記事再録】


 関連の薬歴公開は「抗インフルエンザの構造式」(2013/1/25)です。

 【ヒット記事再録】リレンザが処方された12歳のKさん。薬歴の副作用歴に「リレンザで発疹」の記載が! 疑義照会するときは、ドクターに代案を提示したいけど…。

 ※記事は2014年に公開されたものです。現状と異なる可能性があります。

 「現状と異なる可能性があります」たしかに。今なら次の可能性も考えないといけないでしょう。


【第51回】


 2014/12/22のコラム「DPP-4阻害薬を構造で分類してみる」の続編です。

 同じ薬効群なのに基本骨格を持たないDPP-4阻害薬。その中で同じシアノピロリジン系といってまとめようとしましたが、それは間違いでした。

 薬力学的な分類としての結合様式による分類、完成版です。

Photo

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2016年3月 4日 (金)

積極的な待機から「新しさ」を絞り出す

「マイナ故に自由なのだ」(P. 117)
決してマイナではないのだが、それでも自由でありたい。

作家の収支 [ 森博嗣 ]

作家の収支 [ 森博嗣 ]
価格:820円(税込、送料込)


【出版社の「半お墨付き」】

・・・、広報活動に努力を惜しまなければそこそこの宣伝効果は見込めるだろう。なにもなかった時代に比べれば、である。ただ、新人で誰も名前を知らなければ、たとえネットで発信しても見向きもされない。ネットはそれほど普及しすぎてしまった。もう「普通」のメディアになったということであり、違いはただ、発信に費用がかからないというだけだ。効果は今となっては薄い。それが現実である。

(森博嗣『作家の収支』幻冬舎新書 P. 72)
 
 とくにネットの世界は玉石混交の情報で溢れかえっている。ゆえに発信した情報が誰にも届かないことがある。手紙を入れた瓶を海に流すように。だからといって、発信という行為そのものが無駄というわけでは決してない。誰も見ることがない日記とは異なり、誰かが目にするかもしれない発信は、本人の成長にとっても価値がある。

 アマチュア作家にとって、なによりも欲しいのはリンクなのだ。つまり、宣伝である。(中略)情報発信はできても、今は情報が多すぎて、誰も目を留めてくれないからだ。

(森博嗣『作家の収支』幻冬舎新書 P. 185)

 たしかに。先日、二年前に発信した記事「リレンザで発疹歴のある患者さんにイナビルを投与してもいいですか?」が日経DIのフェイスブックページで再録された。結果、2/27と2/28にランキングの上位にあって、ほんとうに多くの方に目にしていただけることができた。日経というリンクがある僕は、ほんとうに恵まれた環境にある。
 

【オリジナルなものを作ること】

 それは、一般的には「才能」という言葉で片づけられているものだ。しかし、僕はそうは考えていない。どちらかというと、「思考力」や「発想力」に近い。それも才能ではないか、と言われるかもしれないが、才能がなければ、時間をかけて考え、発想するまでひたすら待てばよい。スポーツや音楽や演劇などではこうはいかないが、文章を書く場合には、時間で解決できるということだ。

(森博嗣『作家の収支』幻冬舎新書 P. 95)

 恵まれた環境にあるからこそ、情報をただ右から左へとスライドさせるようなことだけは避けたい。情報を組み合わたり、視点を変えることでオリジナルなものを作っていく。そのために才能はなくとも時間をかける。積極的な待機といえる。とても勇気付けられる指摘だ。
 

「新しさ」を自分の頭から絞り出す

 新しさを生み出すこと、新しさを見せること、それが創作者の使命である。「使命」というと格好が良いが、もう少しわかりやすく表現すれば、「意地」だ。それが、それだけが、プライドを支えるもの、アイデンティティなのである。

(森博嗣『作家の収支』幻冬舎新書 P. 202)

 「使命」「意地」「アイデンティティ」と言い換えられているこれらの言葉を実践するためには、自分の頭で考え続けていくしかない。それが何の役に立つのか。そんなことは副次的なことであって、どうでもいい。まず表現こそがそれに先立つのだ。
 

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2016年2月26日 (金)

2016年2月のコラムの補足とセリバスタチン

2016年2月の薬局にソクラテスがやってきた
OATP1B1とスタチン、CYP2C8の基質と阻害剤
と言えば「セリバスタチン」が存在していたあの頃

【第49回】


 関連の薬歴公開は「ネオーラルースタチン」(2009/8/21)です。

 スタチンとシクロスポリンの相互作用は、OATP1B1の基質とその阻害剤の関係と説明できます。そして、併用禁忌とみなす判断基準があり、それを下回るのは、OATP1B1の基質ではないローコールだけと言っていいでしょう(もちろんローコールも低用量からスタートするといった注意が必要です)。

1_2


【第50回】


 関連の薬歴公開は「ジャヌビア錠25mgの剤型変更と添付文書改定からわかること」(2013/8/30)です。

 プラビックスのグルクロン酸抱合体は強力なCYP2C8阻害剤である。この事実がなぜ今まで判明していなかったのでしょうか(第2相反応の代謝物だから検討されることがなかった?)。むしろプラビックスといえば、阻害剤ではなく、CYP2C19の基質というイメージでした。

 一方、シュアポストはCYP2C8阻害剤の影響を受けやすい基質としては有名で、IFにも次のような記載があります。

6)ゲムフィブロジルとの併用
健康成人(外国人)に、ゲムフィブロジル(CYP2C8 阻害剤、国内未承認、600 mg、1 日 2 回)を 3
日間投与し、3 日目に本剤(0.25mg)を併用したとき、レパグリニドの
Cmax 及び AUC0-∞は、
本剤を
単独投与したときの 2.4 及び 8.1 倍に増加し、t1/2は 1.3 時間から 3.7 時間に延長した。また、ゲムフィ
ブロジルに加えてイトラコナゾール(CYP3A4 阻害剤、100mg、1 日 2 回 3 日間、1 日目の初回用量は
200mg)を併用したところ、レパグリニドの Cmax 及び AUC0-∞は本剤を単独投与したときの 2.8 及び
19 倍に増加し、t1/2は 6.1 時間に延長した。

 レパグリニドの代謝には CYP2C8 が主に関与し、一部 CYP3A4 も 関与するといわれています。この結果を踏まえると、シュアポストとプラビックスの併用に加え、クラリスロマイシンやイトラコナゾールといったCYP3A4阻害薬を上乗せする状況になったとしたら、シュアポストのAUCの増加は2ケタになってもおかしくないわけです。

 そしてゲムフィブロジル。この本邦未承認のフィブラート系を目にして思い出すのはセリバスタチンです。


【懐かしのセリバスタチンとその当時】

 セリバスタチン(商品名:セルタ【武田薬品】・バイコール【バイエル薬品】)。今はなきこのスタチンをご存知でしょうか。僕がMRの頃、なかなかの強敵で・・・。武田系卸をフル活用しローラー作戦を仕掛けてくる武田、そして一本釣りのバイエル。苦労しました。が、このセリバスタチンは販売中止、自主回収となってしまいます(こちら)。

 セリバスタチンは発売当初、CYP2C8とCYP3A4の多代謝経路のために相互作用が少ないと言われていました(セリバスタチンはCYPで代謝され、グルクロン酸抱合を受ける)。ところが、ゲムフィブロジルを併用すると、その強力なCYP2C8阻害作用と、それに続くグルクロン酸抱合の阻害により、横紋筋融解症の発現へとつながったのです。

 そして、セリバスタチンの販売中止。これがスタチンとフィブラートの原則禁忌の引き金になりました。

 また当時、もう一つの相互作用も報告されていました。それがスタチンとシクロスポリンです。当時はシクロスポリンのCYP3A4阻害作用によるものと考えられていました。しかし、CYP3A4で代謝されないスタチンの血中濃度も上昇してしまうことから、CYP3A4を介さない相互作用の機序が研究されることになります。

 その答えが、シクロスポリンの肝臓でのOATP1B1阻害です。これなら水溶性のメバロチンが、シクロスポリンとの併用において、そのAUCを23倍にも上昇させるという報告があることにも頷けるわけです。
 

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2016年2月19日 (金)

乱読、再読『ガラスの街』

再読、乱読、積読。
「偶然以外何一つリアルなものはないのだ」
仕事論、そして最後の一文。

ガラスの街 [ ポール・オースター ]
価格:561円(税込、送料込)


 僕みたいな乱読家にとって、本にまつわる問題は山のようにある。なかでも、本の整理という物理的な問題は避けがたく存在している。書き込み、線引き、端折りなど、なんでもありの僕の本には、古本としての価値もなく、それこそ山積みとなっている。

 片づけが進まない理由、それは時間がないからではない。時間がないというセリフは、優先順位が低いという意味でしかない。そうではなく、手にとると開いてしまうからである。再読が始まる。もちろん最初から最後まで読んでしまうわけではない。僕が残した印である書き込みや線引き、端折りを探してしまうのだ。

 今回手にしたのは、ポール・オースターの『ガラスの街』。僕の印が数ヶ所ある。まずは物語の冒頭部分。

 そもそものはじまりは間違い電話だった。真夜中にベルが三度鳴り、向こう側の声が、彼ではない誰かを求めてきたのだ。ずっとあとになって、自分の身に起きたさまざまなことを考えられるようになったとき、彼は結局、偶然以外何一つリアルなものはないのだ、と結論を下すことになる。(ポール・オースター『ガラスの街』新潮文庫 P. 5)

 「偶然以外何一つリアルなものはないのだ」ほんとにその通りだ。僕はたぶん初めて読んだその時と同じように膝を叩く。そして、主人公クインとその物語を思い出す。その物語は間違い電話から始まるのだが、じつはオースターがこの小説を書くきっかけになったのも間違い電話なのだ。

 オースターのエッセイ『トゥルー・ストーリーズ』に「私のはじめての小説は間違い電話から着想を得た」とある。そして、この事実を赤いノートブックに書きつけた、とも。オースターも僕と同じノート使いなのだ。

 『ガラスの街』には3ヶ所、僕の印が刻まていた。二つ目は仕事論的なフレーズだった。

 「いいですか。私はですね、仕事の枠を限定する必要を悟ったのです。すべての結果が決定的なものとなるよう、十分小さな領域のなかで作業を進めることが肝要なのです」(同書 P. 138)

 まさにゲーテを彷彿とさせる。「小さな対象だけを扱うように」「小さな題材を扱うのが一番だよ」「ただ君の手にあうような個々の部分だけをそれぞれ独立して表現するなら、それはきっとよいものができる」(エッカーマン著、山下肇訳『ゲーテとの対話(上)』岩波文庫)。オースターも『ゲーテとの対話』を読んでいたのかもしれない。

 僕もこの忠告を守りつつ表現しようと心がけている。しかしそれは、同時にまた一抹の不安でもある。パスカルの言葉を借りるなら、「われわれは絶壁が見えないようにするために、何か目をさえぎるものを前方においた後、安心して絶壁のほうへ走っている」のではないか、と。

 『ガラスの街』についている最後の印は、赤いノートの最後の一文だった。

 「赤いノートにもう書くところがなくなったらどうなるのだろう?」(同書 P. 236)

 クインはノートのはじめの方での多くのページの無駄使いを嘆く。が、それは人生において必要だったのだと了解しつつ、最後の一文へとつながる。それは人間の最後の言葉を僕に連想させた。

 最後の言葉として感動とともに覚えているのは、ユゴーの『レ・ミゼラブル5』(新潮文庫)でのジャン・ヴァルジャンの言葉だ。「死ぬことはなんでもない、生きていないことが、恐ろしい」。この一文を目にするためにこの大長編をここまで読み進めてきたのだ、といった意味でも感慨深いものだった(ユゴーは「主題を見失わなければ、脱線にはならない」と居直り、歴史背景や時代の問題点を了解しないままに、物語を進めることを拒否している)。

 でも今、最後の言葉を求められたとしたら、この言葉を提出することはない。否、できそうにない。僕は“ほんとうに”生ききれているのか、そう問わずにいられない。だが、ここでまたパスカルの言葉が思い浮かぶ。「私が何も新しいことを言わなかった、などと言わないでもらいたい。内容の配置が新しいのである」。この言葉なら、薬局薬学のエディタとしての僕のノートの最後に刻まれてもいいだろう。

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2016年2月12日 (金)

アボルブ休薬中の患者への麻黄湯

アボルブ休薬中
いつまで大丈夫?
風邪薬や麻黄剤など

CASE 179

男性 65歳 

他科受診:なし  併用薬:なし

定期処方:
Rp1) アムロジピン錠2.5mg 1錠   分1 朝食後   28日分

Rp2) ユリーフ錠4mg  2錠 分2 朝・夕食後  28日分

Rp3) ツムラ麻黄湯エキス顆粒 7.5g 分3 毎食前 3日分

Rp4) カロナール錠300mg 1錠 発熱時頓用 5回分

*H28.1.12よりアボルブ休薬中

患者のコメント:
「寒気がする。会社で(インフルエンザが)流行り出した。たぶんそうだろうって」

患者の情報:
① アボルブ休薬後も尿の出は問題ない。
② 汗(-)

□CASE 179の薬歴
#1 アボルブ休薬による尿閉リスクの回避
  S) 寒気がする。会社で(インフルエンザが)流行り出した。たぶんそうだろうって
 O) アボルブ休薬1ヶ月→排尿に問題なし
   インフルエンザ疑いにて、ツムラNo.27処方(無汗OK)
 A) アボルブ休薬1ヶ月なのでまだ大丈夫だろう
   念のため、麻黄剤や風邪薬による尿閉のアナウンスを
 P) 抗ウイルス作用のある漢方薬。発汗剤なので水分もこまめに。
   尿の出が悪くなるようなら中止を。今後も市販の風邪薬でも同様に注意を。
 
□解説
 前立腺肥大症治療薬「アボルブⓇカプセル 0.5mg(デュタステリドカプセル)」の出荷調整のお詫びとお知らせ。これによる対応はさまざまだ。アボルブを休薬したら間違いなく尿閉やオペになるような患者を除いては、アボルブの休薬もしくは抗アンドロゲン薬への変更をお願いしている。
 
 この患者はアボルブを休薬している。まだ1ヶ月だ。そして、排尿に関しての問題は見当たらない。おそらく、麻黄剤による尿閉は大丈夫だろうとは思いつつも、アボルブの供給再開の見通しがたっていない以上、今後のことを考えた服薬指導をしておこう、といった内容になっている。
 
□考察
 2~3ヶ月ならアボルブを休薬しても問題はない、とメーカーは案内している。たしかに5α還元酵素阻害薬や抗アンドロゲン薬は半年くらいかけて前立腺を小さくしていくわけだから、その通りなのだろう。

 コントロールされた前立腺肥大症の患者への抗ヒスタミン薬、抗コリン薬、そして麻黄剤など。そういったことは日常的になされている。が、アボルブを休薬中の患者は意識しておかないといけない。今から時間が経てば経つほどに。
 

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2016年2月 5日 (金)

サーチ実践例と勉強会のご案内

安心処方infoboxサーチ実践例更新
服薬ケアで目指す「本物の薬剤師」

【第90回サーチ実践例】

90

 こんな疑問が頭をよぎったら、副作用サーチが便利です。検索して思うことは、添付文書に載せるかどうか、そしてその重症度といった扱いは、ほんとメーカーによってかなり違うんだな、ということでした。

 過去の実践例はこちら


【勉強会のご案内】

2

 岡村先生のご講演。「薬の知識、病理学、薬の使用感等、使用する薬が体内でどのように吸収、分布、消失するのか、その薬物動態をイメージ出来るようになる・・・」うん、面白そうです。

 福岡での開催が近づいてきましたので、ご案内します(申し込みはこちら)。

 日時:2016/02/14(日)13:30~16:00(受付開始13:15)

 場所:天神クリスタルビル3F Bホール
     (福岡県福岡市中央区天神4丁目6-7 天神クリスタルビル3F)

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2016年1月29日 (金)

2016年1月のコラム ~ニフェジピン‐CAMとランサップが二規格ある理由~

2016年1月の薬局にソクラテスがやってきた
ニフェジピンとクラリスロマイシンの併用注意
コラボ企画第2弾!

【第47回】



 「クラリスロマイシンのCYP3A4阻害作用は、併用後すぐには起こらず、4~10日後に生じることが多い。そして、投与中止後も影響がしばらく残る」というタイムラグの問題。

 クラリスロマイシン(CAM)が3日分の処方だったら? 併用が終わったあとに影響がでることになる。そこまで視野に入れないといけないといけないわけです。

Photo_2

(出典:杉山正康編著『薬の相互作用としくみ 全面改訂版』[日経BP社、2012])
 
 

【第48回】


 コラボ企画第2弾です(第1弾は熊谷さんのコラムにお邪魔しました)。今回はEBMの伝道師とのコラボ。青島さんにソクラテスの世界にお越しいただきました。いらっしゃいませ~。

 前半は青島さんとのFB上での実際のやり取りをもとに作成しています。そして後半は、実際に青島さんを召喚しています。

 また、コラムの中で、ピロリ菌の除菌パック製剤が登場します。とうぜん、CAM800mg配合の製剤は、それだけリスクなわけです。当時はタケキャブもなく、ランサップなどでの除菌がメインでしたが、今では当局はタケキャブのレシピばかりです(「

 そもそも除菌パック製剤の400と800ではどのくらい除菌率に差があるのでしょうか? 例えばランサップ。
武田薬品の使用成績調査によると、その除菌率は
400で80.7%(95%CI 78.79-82.45)、
800で80.2%(95%CI 77.26-82.92)と、その差はほとんどなく、同等といっていいようです。ただし、
喫煙者においてはCAM800mgの方が400mgより除菌率が高いという報告もがあります(
Ishioka H, et al. Digestion 75:P63-68 2007.)。しかし、これは後からわかったこと(タバコによる胃血流量の低下が原因で、除菌実施中はやはり禁煙すべきですね)。

 では、なぜ除菌レシピが二つ存在することになったのでしょう。これは
発売当時の使用実態調査を基にしたという理由であって、確固たる根拠があったわけではないようです。
タケキャブのパック製剤の発売が待たれるところですが、400のみの検討と聞いています。除菌率の高さからいくと、さもありなんという感じです。
 

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2016年1月22日 (金)

「探偵のように推理し、患者の暮らしを守る」

薬剤師のやるべきことは、・・・、薬と人の支援、つまり「服薬支援」と「患者支援」です。(P. 73)


【暮らしが先に来る思考回路】

薬剤師は、患者さんに薬をしっかり飲んでもらうことが大切だと思うけど、患者さんの願いはただ一つ、「暮らしを守ってほしい」という思いですよ。これを医学用語に言い換えたものが「クオリティー・オブ・ライフ(QOL)を守る」でしょう。(中略)QOLを守ったり上げるために薬剤師のやるべきことは、「薬によってQOLを下げないように守る」ことなんです。そこに薬剤師の大いなる使命と役割が存在するんです。薬剤師の、人へのかかわりというのは、そこにある。
 薬がその人の暮らし、QOLに影響を与えていないかを視る。それは「薬が先に来る思考回路」ではなく。患者さんの暮らしを視て、薬の影響が出ていないかを視る、つまり、さっきの逆。そこで、僕はそれを、「モノが先に来る思考回路」に対して、「暮らしが先に来る思考回路」と名付けて、ずっと言い続けてきている。

(川添哲嗣『「Do処方、特変なし」から脱却せよ!』日経BP社 P. 14-15)
 
 川添先生が形を与えた、この「暮らしが先に来る思考回路」という概念。この考え方に初めて触れたのは平成18年、漆畑先生の調剤報酬改定の講演目当てに参加したセミナーでのことだった。衝撃だった。

 この思考回路を通して、「暮らしから薬をアセスメントする」。そして、そのためには「薬学的知識が欠かせない」。もちろん「経験」も。

 知識と経験で予測もできる。患者の暮らしを守る。現在の、そして将来の。
 
 
【食事、排泄、睡眠の中には、直接薬をアセスメントできる項目がいっぱい】

 でも、思うんです。じゃあ、薬っていうのは、血圧さえ下がればいいのか? それは違うでしょう? 人間にとって薬を飲む意味は、血圧を下げることによって長生きすること、例えば脳梗塞の発症リスクを下げることにあるわけですよね。
 では、何のために長生きするかというと、それはやっぱり豊かな人生を歩んで、人生を楽しく生きるためじゃないですか。じゃあ、薬によって人生が楽しくなくなってしまっては元も子もないだろうと。
 楽しむためには、食事と排泄と睡眠の三つが満たされていることはすごく大事だと、僕は思うんですよ。快食、快便、快眠という言葉は、見事に人間のクオリティー・オブ・ライフを言い表していると思うんですよ。クオリティー・オブ・ライフって何なのか、人生の質って何なのかを考えると、究極は、快食、快便、快眠なんだと僕は思っています。
 それらが人生おいて重要だと考えれば、副作用チェックに際して最も優先すべきことは、快食、快便、快眠を妨げるような副作用チェックをすることじゃなかろうかと。もちろん、命にかかわるような副作用チェックは重要ですけど、この三つが脅かされていないか、副作用が出ていないかをチェックすることは決して忘れてちゃいけないと思うんですよね。

(川添哲嗣『「Do処方、特変なし」から脱却せよ!』日経BP社 P. 170-180)
 

 ほんとうにこの三つのチェックは忘れちゃいけない(フローチャートには「運動」と「認知機能」が加わる。2010年2月26日 (金) 「暮らしが先に来る思考回路」参照)。そして、薬歴の記載において重要な指摘が続く。

比較のためには、問題がなかったときの記録を残しておくことが大切なんです。

(川添哲嗣『「Do処方、特変なし」から脱却せよ!』日経BP社 P. 181)
 
 僕らは薬歴の記載において、POSの考え方でSOAP形式で記録をつける。POS(Problem Oriented System)とは、患者の持っている医療上の問題点に焦点を合わせ、その問題を持つ患者の最高の扱い方(best patient care)を目指して努力する一連の作業システムのことをいう。この定義、いや日本語訳が問題なのだ。

 Problemを問題(問題点)と訳するから、その言葉に引きずられる。つまり、患者の問題(問題点)を探してしまう。だから、よい状態、問題がなかったときの記録を残すことができない。結果、後から読み返したときの価値が目減りしてしまう。経時的な変化が追えなくなる。そうなるくらいなら、Problemは「プロブレム」のまま使えばいい。そして、「テーマ」くらいの意味合いで捉えておけばいいのだ。
 
探偵のように推理するのが薬剤師の仕事

 例えば僕は、新しい薬が発売されたときにその薬を知ろうと思ったら、まず添付文書を見て「食事」に関する副作用に赤で丸を付ける。そして、次に「排泄」に関する副作用は青で囲む。そして「睡眠」は緑とかで印を付けていく。そうすると、全部の副作用の8割ぐらいは、食事か排泄か睡眠かのどれかに影響する副作用に該当します。(中略)だから、食事、排泄、睡眠に関する簡単な質問を入り口に、いろんな副作用の可能性が引き出せる。そして、出てきた可能性を一つずつ検証しながら、可能性をつぶしていく。患者さんに聞いて確認したり、自分の目で患者さんの様子を視たり、介護者に聞くというのもありでしょう。そうやって、探偵のように推理しながら、原因を確かめていくのも薬剤師の仕事だと思います。

(川添哲嗣『「Do処方、特変なし」から脱却せよ!』日経BP社 P. 188)

 この勉強法は面白い。今度やってみよう(赤・青・緑って齋藤孝の三色ボールペン術みたいだし)。しかし、ただ副作用を見つけて終わりじゃない。その先、次の段階の問題点まで視野に入れて行動することが大切だ。

 薬剤師は、副作用を見付けて、見付けたことを喜ぶ職業じゃない。時々、口渇を見付けた途端に、「患者さんが『口が渇く』と言っています。副作用じゃないでしょうか」と医師に相談してしまう薬剤師がいるんですけど、それだけで相談されても医師は困る。何が問題なのか、本当に患者さんが困っているポイントは何かをしっかり見極めて、解決策を医師と共に探していくことが大切でしょう。

(川添哲嗣『「Do処方、特変なし」から脱却せよ!』日経BP社 P. 198-199)

 探偵のように推理する。そして、患者のQOLが薬で下がることがないように、暮らしを守る。薬剤師ってかっこいいじゃん。

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2016年1月15日 (金)

入眠禁止ゾーンへの理解と実践

何時に睡眠薬を飲んでいる?
「入眠禁止ゾーン」

高齢者は“遅寝早起き”が基本です。

CASE 178

女性 75歳 

他科受診:なし  併用薬:なし

定期処方:
Rp1) アムロジピン錠2.5mg 1錠   分1 朝食後   28日分

Rp2) ウルソデオキシコール酸錠100mg  3錠 分3 毎食後  28日分

Rp3) デパス錠0.5mg  2錠 分1 就寝前 28日分

患者のコメント:
「安定剤は1錠でいいときもあるが、だいたい2時に目が覚めて追加している」

患者の情報:
① 持ち越し(-)
② デパスを20時に1錠服用して就寝している
③ 2時に追加服用。6~7時に起床。

□CASE 178の薬歴
#1 22時以降に就寝・服薬をしてもらう
  S) 安定剤は1錠でいいときもあるが、だいたい2時に目が覚めて追加している
 O) デパスを20時に服用し就眠。2時に覚醒し追加服用。
 A) 入眠禁止ゾーンを実践できれば、デパスを減らせるかもしれない
 P) 就寝・服薬が早すぎるので、追加になっている。
   量が多いとふらつき、転倒のもと。
   入眠禁止ゾーンを示し、22時以降の就寝・服薬を提案。
 
□解説
   「睡眠薬が効かない」「睡眠薬を追加している」こういった訴えのときはまず服用状況を確認している。今回も、案の定、服薬タイミングが早すぎるケースだった。加齢とともにメラトニンが分泌される時間が前倒しとなって、睡眠相が前進してしまっているわけだ。高齢者は生理的に就寝が早くなり、起床も早くなる。つまり、よくあるケースといえる。

 最近、こういうケースでは「入眠禁止ゾーン(19時~22時)」を示した資料を使っている。この時間に服薬すれば、それはもちろん薬の効きもイマイチだろうし、眠れたとしても睡眠の質もよくない。そして、睡眠欲求も低下していく。

睡眠は、睡眠欲求と覚醒シグナルのバランスにより保たれているため、普段の入眠時刻の2~3時間前の時間帯は、最も覚醒水準が高くなり入眠に適しません。そのため入眠禁止ゾーンと呼ばれています。そして、いったん入眠すると睡眠欲求は低下し、十分な睡眠をとると睡眠欲求は消失します。

Photo


 昔から、良い子は“早寝早起き”だが、高齢者の場合は“遅寝早起き”を実践してもらわないといけない。
 
 
□考察
 
そもそも65歳以上になると、生理的睡眠時間は6時間くらいだといわれている。20時に就寝して2時に起きるというのは、ちょうど6時間、十分に眠って目が覚めたともいえる。それからまだ寝ていたいというのは無理な欲求ともいえる。

 “無理な睡眠への欲求”この問題、じつは根が深いのかもしれない。

 この早寝の習慣を助長するものに「入院」がある。21時消灯。これがよくないのだろう。高齢者が退院したら、この点を確認しておかないといけない。

 さらに、もう一つ考えるとすれば、夕食後の薬の副作用が、この入眠禁止ゾーンでの睡眠を招いていないか、ということだ。例えば、一包化されている患者で、夕食後の中に安定剤やリリカなどが入っていたとしたら? そういうときは服薬タイミングの見直し、つまり処方の見直しを提案することから始めないといけないだろう。
 

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2016年1月 8日 (金)

2016年始動(講演会のご案内)

2016年ブログ始動。
講演会のご案内から。
今年もよろしくお願いします。


 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。今年もブログは毎週金曜日にアップ。コラムも月2本のペースを維持できればと考えております。また、その他の企画も水面下にて進行中です。時が来ましたら、随時アップしていこうと思います。

 さて、新年一発目は講演の案内です。昨年は日薬大会や熊薬の卒後教育と講演をしましたが、じつは僕は講演活動を公にはしていません。物理的な理由以外は特にないのですが、強いて言えば、滅多にしない人が講演すれば希少価値が出るのでは、くらいでしょうか。ということで、佐賀県薬剤師会にお邪魔して、川添先生の前座を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします(詳しくはこちらの生涯学習を参照ください)。

Saga

 さいきんは講演タイトルだけは楽につけられます。「○○にソクラテスがやってきた」で○○に地名なんかを入れればバッチリですから。内容は? それは会場でのお楽しみということで。また、講演会終了後には懇親会も企画されているようです。ご都合のつく方はぜひお越しください。

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2015年12月30日 (水)

「薬局にソクラテスがやってきた」2015年記事一覧

2015年のブログ納めはソクラテスのアーカイブ。
日経DIO連載中の「薬局にソクラテスがやってきた」2015年記事一覧

 今年もブログ納めは、2015年DIO記事のアーカイブです(今年も熊谷兄貴のマネで。熊谷さんの記事一覧はこちら)。なんとか2年目も無事に乗り切りました。といっても楽しんで書いているので、来年も今のペースでお届けできればと思っています。

 そしてそして、おかげさまで、年間閲覧ランキング【第1位】を獲得することができました。パチパチ~。さらに青島さんとのワン・ツー。パチパチパチ~。みなさまの応援、本当にありがとうございました!


山本雄一郎の「薬局にソクラテスがやってきた」2015年記事一覧


2015/ 1/16



2015/2/24 

2015/3/11 

2015/3/23 

2015/4/8

2015/4/21 

2015/5/8 

2015/5/20 

2015/6/9

2015/6/23 

2015/7/10

2015/7/29 

2015/8/11

2015/8/25 

2015/9/7 

2015/10/2 

2015/10/19

2015/11/5 

2015/11/17 

2015/12/2 

2015/12/16

 以上、23本のご紹介でした。

 毎週金曜日のブログ、月2本のコラムの目標もほぼほぼ達成! 今年もたくさんの方に応援していただき、感謝感謝です。

 また、日薬大会や熊薬卒後教育講演と充実した一年になりました。来年も講演や学会で全国にお邪魔する予定です。講演は本当にたくさんのご依頼をいただいてまして、来年はもうこなしきれそうにありません。すみません。そのぶんもブログやコラムなどで面白い記事をお届けできたらと思っています。

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2015年12月25日 (金)

2015年12月のコラム ~リリカの別の話題と腎機能の評価それ自体~

2015年12月の薬局にソクラテスがやってきた
リリカが徐波睡眠を増やす?
添付文書のCCrはなんでeGFRなの?

【第45回】


 関連の薬歴公開は「リリカの用法と浮動性めまいの発現率」です。

 前半はリリカの副作用の特徴、後半は用法とめまいの発現率の関係、という構成です。

Ririka

 では、リリカの就寝前の服用はどうなの? そのままぐっすり寝てしまえば(中途覚醒がなければ)問題はないでしょう。それよりも僕が気になるのは“徐波睡眠(ノンレム睡眠)が増える”という噂。

 ラット(*1)や健康成人(*2)では徐波睡眠が増えるという報告があるようです。睡眠薬が減らせるかも! いやいや、夜中の転倒が増えるのでは? だって空腹時だし、睡眠薬を併用するようなものでしょ?

 とりあえず、リリカが就寝前で処方されたときに、睡眠薬の減薬を提案するというのも手かもしれません。

 *1:Kubota T, Fang J, Meltzer LT, et al.:Pregabalin enhances non rapid eye movement sleep. J Pharmacol Exp Ther 299:1095-1105, 2001

  *2:Hindmarch I, Dawson J, Stanley N:A double-blind study in healthy volunteers to assess the effects on sleep of pregabalin compared with alprazolam and placebo. Sleep 28:187-193,2005
 

【第46回】


 今年の最後の記事は何にしようかな~と迷いましたが、腎機能の評価に関することにしました。「ソクラテス流・CCrとeGFRの使い分け」の補足・訂正(2015/12/18)も併せてご覧ください。

 
基本はeGFR(mL/min)です。いちばん正確ですから。ただ現場では、患者さんによっては、S-Crだけで事足りることもあります。もちろん
ハイリスク薬では
eGFRを使うべきですが、患者さんの状態によっては、CCrを使うこともあります

 さらに、添付文書のCCrはeGFRと同じです(下の図5参照)。もちろん、検査結果に載っているeGFRではないですよ。単位を省略するとわけがわからなくなりますね。

Ccrgfr

 平田純生編集『腎臓病薬物療法ベーシック』じほう P. 28 より
 

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2015年12月18日 (金)

「ソクラテス流・CCrとeGFRの使い分け」の補足・訂正

2015/12/16にアップした日経DIOの記事
の補足・訂正です

 記事の後半、「一方、CG式で求めたCCrは加齢とともに腎機能を過少評価する傾向があるため、高齢フレイル患者において、eGFR(mL/分)よりも予測精度が高くなる」この部分の説明のために、ファルマシアの図1を引用しました。しかし、この部分を説明するためには、文脈的にも下の図2を持ってくるほうが適切でした。

Photo   (ファルマシア2015;51(9):863-7.より引用)

 こちらはx軸に年齢を持ってきており、「加齢とともに」という表現をよく表しています。コラムで用いた図1は85歳固定ですから、「加齢とともに」が表現できません。そして、x軸が体重。つまり、CCrに肥満体重を用いるのは危ないといった説明をするのには適していました。

 図2を見ると、「25歳を超えると、CCrが年に1%ずつ低下していく」という考えがCCrの場合であるということがよくわかります。右下がりの一直線ですね。対して、eGFRの方は緩やかに低下しています。ふつうはこういう曲線を描くわけです。

 今年、最後の記事も詰めが甘く、申し訳ありません。記事を放って時間が経っていますので、当ブログへにて補足・訂正の形にさせていただきました。

 来年もよろしくお願いいたします。    

 山本雄一郎

 

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2015年12月11日 (金)

高齢女性へのセレコックス投与は要観察

COX-2選択的阻害薬セレコックス。
この薬が効きやすい患者背景。

それにしてもこの性差の理由はなんなのだろう?

CASE 177

女性 90歳 

他科受診:なし  併用薬:なし

定期処方:
Rp1) アムロジピン錠2.5mg 1錠 
        アルファカルシドールカプセル1μg  1C  分1 朝食後   28日分

Rp2) セレコックス錠100mg  2錠
    テプレノンカプセル50mg  2C 分2 朝・夕食後  28日分

Rp3) センノシド錠12mg  2錠 分1 就寝前 28日分

患者のコメント:
「夜はあまり足も痛まないし忘れてしまうの? お昼か寝る前でもいい?」

患者の情報:
① 膝関節痛にてセレコックスを服用中
② 食欲(+)、黒色便(-)、むくみ(-)、尿量NP
③ セレコックスの飲み忘れ(残薬あり)、飲み忘れても痛くて困ることはない

疑義照会:
(内容)セレコックス、テプレノンともに残薬あり
(回答)Rp2)削除

□CASE 177の薬歴
#1 セレコックスは1日1回でいいかもしれない
  S) 夜はあまり足も痛まないし忘れてしまうの? お昼か寝る前でもいい?
 O) 残薬あり→Rp2)削除、食欲(+)、黒色便(-)、むくみ(-)、尿量NP
 A) セレコックスは1日1回で十分かもしれない
 P) 昼は時間が近く、腎臓に負担になるのでダメ。
   夜は痛くないのであれば朝だけで試してみて。
   同様の内容を手帳に記載。次回、Drに手帳を見せて。
 
 
□解説
   90歳とは思えないくらいしっかりしたおばあちゃん。セレコックスの夜を飲み忘れてしまうという。リカバリを寝る前というのは理解できるが、昼でもいいか? というのは予想できなかった。こういう発想をする方もいるから気をつけないといけない。

 しかし、今回の問題はリカバリではなく、セレコックスを飲み忘れても問題がない、という点にある。つまり、1日2回服用しなくてもいいわけだ。90歳なので、予想以上に半減期などが伸びて効いているのかもしれない。むしろ、効きすぎている? そう思い、副作用のモニタリングをするも今のところ問題はないようだった。

 そこで1日1回でのセレコックスの服用を提案。経緯をお薬手帳に記載し、次回受診時にDrにも見せるようにお願いしている。
 
 
□考察
 
この症例の後日談。セレコックスの服用は1日1回で充分で、処方も1xへと変更になった。

 どのくらいパラメータが変化していたのだろう。そう思い添付文書を開く。それは驚愕の内容だった。インタビューフォームのほうがわかりやすいのでそちらを下に示す。

Photo_2

2_2

 高齢者のAUC増加などは2割増しくらいかな、そう思っていた。しかし、高齢女性ではさにあらず。非高齢男女に比べて、健康高齢男性のCmaxおよびAUC12hrは120%と130%と想定範囲内だったのに対し、健康高齢女性のそれはいずれも約220%にも達している。

 これは驚きだった。高齢女性は、それだけで副作用に注意が必要な患者背景だといえる(この性差の理由はわからない。高齢に限らず、NSAIDsによる浮腫は女性の方が多いように感じる。その点も関係あるのだろうか?)。

 さらに、健康高齢女性では半減期も17.77時間へと大きく延長している。もちろん、17.77時間±7.43と幅も大きく、MINの10.34時間なら非高齢と変わらないので1日2回の服用が必要になるだろう。しかし、MAXの25.2時間近くまで延長しているようなら1日1回で充分なわけだ。この点は観察が必要だろう。

 つまり、高齢女性にセレコックスを投与する場合、薬理作用の過剰発現に注意するとともに、場合によっては1日1回での服用を提案することも考慮にいれてよさそうだ。そもそも日本人はNSAIDsを漫然と服用しすぎている。慢性疼痛に使われるセレコックスではなおのこと。そこで高齢女性の処方に対して、このパラメータの変化を根拠に切り込んでいきたいと思う。
 

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2015年12月 4日 (金)

第48回日本薬剤師会学術大会分科会12をふりかえる

日薬大会 分科会12 「ICTによる情報の共有と活用」
ご来場いただきました皆様、SNSで参加していただいた皆様、
そして関係者の皆様とみやQさん、まことにありがとうございました。

Ict1

【座長講演と分科会のスタイルについて】

 分科会は座長公演で幕を開けます。豊見先生が“情報の差し出し方”がいかに重要であるかを実際の例をあげて紹介。次いで演者と座長の紹介という斬新なスタイルでした(座長公演の内容はこちら)。

Ict7

 斬新なスタイル書きましたがもっと斬新なのは、この分科会のあり方そのものでした。写真OK、SNSでのアップOK、ツイキャスOK。座長より、この宣言がなされたあとのシャッター音たるや。僕もこんなに写真を撮られたのは初めての経験でした。

 この分科会のスタイルには賛否両論があるでしょう。ただ学会のあり方そのものに一石を投じることはできたのではないでしょうか。

【情報発信とその心構え-炎上なんか怖くない-】

Ict2_2


 一番手は熊谷先生。熊谷先生の情報発信が面白いのは情報そのものではなくて、その情報の見方、切り口、視点といったものと感じていました。なぜそれを獲得できるのでしょうか? それは「自分の言葉で情報を発信している」からでした。

 “自分の言葉”と一口で表現しましたが、それはかなり推敲を重ねたものです。時には棘を含むことにもなるそうです。そんなことよりも「いかにしっかりと伝わるか」を優先するのだと。

 誰にも届かない情報というものは発信していないのとなんら変わりません(それでも別の価値はあります)。その情報を誰に届けるのか。つまり“宛て先”です。これは僕宛て(私宛て)のメッセージだと感じた人だけに届くのです。こういうものを意識していない人の情報発信というものは、その情報の内容に関わらず、届かないものなんですね。

 そして「炎上」。その原因は「言葉(の鋭さ)」と「タイトル」そして「匿名性」にあると。なるほど。さらに炎上を逆手に取ることもあるといった内容にただただ脱帽。やはり兄貴はハートの強い人間なのでした。

【“薬歴公開”と“ソクラテス”が目指すパースペクティブ】

Ict4


 二番手は僕。僕の戦略は抽象と具象の世界を行ったり来たりすることで成長を図るといったもの。抽象すぎて、なかなか文章で綴るのは難しいのですが、それでも具体的なポイントとして、次の二つを提案しました。

 1、まとまったものを読んで俯瞰的な視点を手に入れよう。
 2、Blogというツールを活用することで表現する場を手に入れよう。

 そして、平田オリザの格言
 
 「私たちはテーマがあって書き始めるわけではない。
  むしろテーマを見つけるために書き始めるのだ」
        (平田オリザ『演劇入門』講談社現代新書 P. 108)

 書くことであなたのテーマが見つかります。そして表現する場を持つことで、あなた自身の成長を図るとともに仲間にエールを送ることができます。といった内容をお話しました。

【薬剤師のための情報リテラシー~ICTを活用した医薬品情報業務と臨床教育への可能性~】

Ict3_2


 三番手は青島先生(講演内容はこちら)。青島先生は「医薬品の専門家として一次情報(原著論文)を批判的に吟味するスキルは必須」としながらも、「どのような方法で、いかに効率よくEBMスタイルで学びを駆動するか、そういったことが重要になる」と話されました。なるほど現実的です。そして、ご自身が関与する活動を中心に紹介されました。

 この話を聞きながら、“読書からの学びのコツ”を思い出しました。学者には二通りあって、① 理論体系をつくるが洞察力がない学者と② 理論体系はつくらないが洞察力がある学者。そして、学びのコツは②の洞察力のある人が書いたものを読むことだ、と(谷沢永一、渡部昇一『人生を楽しむコツ』PHP研究所 P. 111)。

 古典というものは時の風化作用に耐え抜いてきた人類の宝です。それはできるだけ読んだほうがいいと思うんです。でも、いきなりは敷居が高い。だからまずは、その古典が現代においてどのような意味をもたらすのかを記述したようなものを読めばいい。そうすれば、必ず古典に遡ることになるでしょう。

 なにが言いたいかというと、つまり、まずは青島先生のような人がまとめたものを読めばいいのではないか、と。そういうことを続けておけば、必ず一次情報までアクセスするようになるんじゃないかな~と考えています。

【パネルディスカッション】

Ict5

 会場だけではなくSNSを介して、まさに一体となったパネルディスカッションになりました。このパネルディスカッションに分科会の半分の時間を当てていたというのに、あっという間でした。この続きをネットでまたやっていけたらと考えています。

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2015年11月27日 (金)

腸管膜静脈硬化症の記載のある漢方薬はいくつある ~安心処方infobox 実践例第88回~

医師・薬剤師向けのサイト「安心処方infobox」
第88回サーチ実践例監修。
サンシシに由来する漢方薬の新しい副作用。

【第88回サーチ実践例】

 「腸間膜静脈硬化症の記載のある漢方薬は?

 腸管膜静脈硬化症については、過去記事「漢方薬の新しい副作用」をご覧ください。

Ims88

 この副作用はサンシシが原因と言われており、当時は黄連解毒湯(15)、加味逍遥散(24)、辛夷清肺湯(104)だけの報告でしたが、その後どうなっているのでしょうか?

 こういった疑問が沸いたら、副作用サーチが便利です。結果はもう一つ増えていました。今後もっと増えていくかもしれませんね。


【副作用サーチ実践例】

2010/07/27  CASE24. ARBによる白血球減少症

2011/01/24  CASE30. 副作用サーチの結果をトレースレポートに

2011/03/22  CASE32. 副作用名を思いつかないケース

2011/06/27  CASE35. 副作用サーチの検索のポイント

2011/08/22  CASE37. 副作用サーチで資料作り

2013/11/25  CASE64. ACE阻害薬による味覚異常

2014/03/24  CASE68. 「スタチンが高血糖をひきおこすか?」スタチンをまとめて検索する

2014/05/26 CASE70. OTC医薬品の副作用を検索する

2014/07/28  CASE72  α1ブロッカーによる射精障害

2014/09/22  CASE74  脂質異常症薬と脱毛 ~検索しながら考える~

2014/11/25  CASE76. ループ系利尿薬で女性化乳房の報告のあるものとないもの

2015/01/26  CASE78. 血圧低下の報告のない抗血小板薬は?

2015/03/23  CASE80. 乳汁分泌の副作用のある薬は?

2015/05/25  CASE82. DPP-4阻害薬による血小板数減少

2015/07/27  CASE84. NSAIDsのテープ剤と光線過敏症

2015/08/24  CASE86. 発汗減少がおきる抗てんかん薬は?

【相互作用サーチ実践例】

2010/10/28  CASE27. 相互作用サーチでうらおもて検索

2014/01/27 CASE66. チラーヂンS-プロマックの併用注意をうらおもて検索する

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2015年11月20日 (金)

2015年11月のコラム ~QT延長からのTdPとZ-Drugの依存リスク~

2015年11月の薬局にソクラテスがやってきた
抗不整脈薬のQT延長 第2弾!
Z-Drug(非BZD系睡眠薬)の依存リスクについて。

【第43回】


 「QT延長に伴う心室頻拍に要注意な抗不整脈薬」(2015/10/2)の続編です。

 TdPの発生率は管理する側の要因にも大きく左右される。その要因についての内容です。ベプリコールを題材として取り上げましたが(他の抗不整脈薬よりもリスクが高いので)、他の薬剤でも使える考え方だと思います。

Qt

【第44回】


 記事を放ったあとにタイトルをしくったな、と。ラセミ体からS-体なので、光学異性体ではなく、キラルスイッチとかラセミ分割とかにすればよかった、と反省。平面上で書けば同じ構造でも、立体構造としては異なる光学異性体では、生体への作用の仕方が異なることがあるのは周知の事実。ということで、薬理作用の違いが実感しやすい方を優先して、今回のタイトルはこのままで。

 ゾルピデム(マイスリー)、ゾクピロン(アモバン)、エスゾピクロン(ルネスタ)といった非BZD系睡眠薬は、その頭文字をとって“Z-Drug”と呼ばれるようになってきているようです(僕の周辺ではあまり浸透していないようなので、記事ではその名称を使いませんでした)。

 では、そのZ-Drugには違いがあるのか? わかりやすい違いといえば「苦み」でしょうか。それ以外は? 薬理(とくに薬力学)的には? そういった内容になっています。

 うまくいった光学異性体の例として思いつくのは、クラビット(S-体が抗菌活性、R-体が副作用)とネキシウム(CYPの影響を受けにくい)くらいでしょうか。それ以外はあまり変わらないのでは? と正直感じていました。エスゾクピロンはどうなのでしょう。発売当時には予想していなかった効果が確認されてきているようです。

 その一つが依存性の問題です。記事ではさらっと流しましたが、これは臨床において、この系統の薬剤が抱える大きな問題です。エスゾクピロンは、BZD系はもちろんのこと、他のZ-Drugと比べても、依存性のリスクが低いと考えられています。なぜなら、記事でも紹介したように、依存形成のリスクはα1サブユニットを介して生じるからです。

Photo

(ルネスタの製品情報概要より)

 

 BZD系およびZ-Drugによる依存形成は、
中脳辺縁ドパミン作動神経細胞からのドパミンの過剰放出が、その原因とされています。

 α1サブユニット(①α1GABAA受容体)を介して強く作用する薬物、すなわちBZD系、ゾルピデム、ゾクピロンは、抑制性GABA介在神経を抑制し、GABAの遊離を抑制(脱抑制:①→②)。その結果、ドパミン神経系が活性化され、中脳辺緑系の投射先である側坐核などにおいてドパミンが過剰に遊離され、依存が引き起こされると考えられています。
 
 しかしエスゾクピロンの場合、中脳辺緑ドパミン神経(②α3GABAA受容体)に直接作用するため、ドパミンの放出が抑えられ、依存形成のリスクが低くなるというわけです。

 現在、BZD系やZ-Drugの抱える一番の問題点である依存の問題。これを回避するためにα1サブユニットへの活性を持たない物質の開発が始まっています。そういう意味では、現時点において、依存のリスクが最も低いのはエスゾピクロンといっていいでしょう。

 医師の処方変更の意図はこれかもしれない。BZD系や非BZD系で依存リスクの低いのは? と問われたなら、エスゾピクロンはいかがでしょう、と答えることができると思います。

 と、ここまで記載したところで、注文していた『薬局』が届きました。この本にも同様の言及があったので関連個所を引用しておきます。

 エスゾピクロンはゾピクロンに含まれるS体であり、従来は薬力学的にはゾピクロンとほとんど類似していると考えられてきたが、表3に示すように、現在ではその薬理作用はα2およびα3サブユニットを介して発揮されると考えられている。したがって、このα2およびα3GABAA受容体への作用とその生体内動態とにより、エスゾピクロンの睡眠薬としての入眠効果および睡眠維持効果は、ゾルピデムやゾピクロンのなどのZ薬物より優れていると現在考えらえている。さらに、後述するように、依存形成が生じる可能性はα1サブユニットを介して薬理作用を発現する他のGABAA受容体作動性の睡眠薬に比して格段に低いと考えられ、事実多くの臨床試験の結果もこの推測を裏付けている。(薬局 2015:66;2965.より引用)

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2015年11月13日 (金)

CCBによる下肢浮腫への対応

CCBによる下肢浮腫。
この副作用にはしばしば遭遇する。

CCB+ARBで下肢浮腫改善を経験。

CASE 176

女性 80歳 

他科受診:なし  併用薬:なし

定期処方:
Rp1) ニフェジピンCR錠40mg 1錠  分1 朝食後   14日分

患者のコメント:
「今、薬局まで歩いてきて思い出した。足が重いの」

患者の情報:
① 血圧コントロール良好:130/80
② 下肢浮腫発現(実際に触って確認)
③ 薬をたくさん服用することを嫌う

疑義照会:
(内容)ニフェジピンによるものと思われる下肢浮腫を確認。
    ニフェジピンの減量とARBの併用を提案。
(回答)ニフェジピンCR錠20mg 1錠へ減量
    バルサルタン錠40mg 1錠 分1 朝食後 14日分追加

□CASE 176の薬歴
#1 下肢浮腫軽減のための降圧薬併用を受け入れてもらう
  S) 薬局まで歩いてきて思い出した。足が重いの
 O) 下肢浮腫(+)→疑義にて処方変更 CCB減量+ARB追加
 A) 降圧剤の併用を理解してもらう必要がある
 P) 一つの薬を増やしていくと、今回のように副作用の頻度が高まる。
   違う効き方をする薬を併用することで、副作用軽減も期待できる。
 
 
□解説
   降圧剤だけのシンプルな処方の患者。肥満もあり、普段からゆっくり歩く方ではあったのだが、薬局窓口で「足が重いの」と。足を確認すると、下肢浮腫が発現している。目視でもけっこう腫れているが、指で押すとへこんだままになる。ニフェジピンによるものだろうと疑義照会を行う。

 CCB減量では血圧が上がるかもしれない。そこでARBを併用することで、下肢浮腫の発現頻度が減る報告がいくつもあることも併せて提供する。結果、採用となった。

 あとは薬嫌いの患者に受け入れてもらえるように、降圧薬が2剤になった理由を丁寧に説明している。
 
 
□考察
 
CCBによる下肢浮腫なら減量もしくは中止すれば改善する。そこで問題になるのが血圧のコントロールだ。この方は服薬さえ忘れなければコントロール良好なのだが、薬を切らすと160~170まですぐに上がる。おまけに薬嫌い。

 今回の作戦が受け入れてもらえないなら合剤でいくしかない。ひそかにそう考えていた。結果、下肢浮腫は改善し、血圧のコントロールもうまくいっている。ただし、下肢浮腫の改善がCCBの減量によるものだけなのか、ARBの併用もあわせてのものなのかは判然とはしないが…。

 CCBは降圧効果が病態によらず確実でありながら、問題となる副作用をきたすことは少なく使いやすい降圧薬だ。しかし、下肢浮腫にはよく遭遇する。アムロジピンやニフェジピンが高用量使えるようになったことも関係しているのだろう。CCBによる下肢浮腫は用量依存的に増加する。

 CCBによる下肢浮腫のメカニズムとして、次の二つが考えられている。一つは細動脈の拡張に対して細静脈の拡張が伴わない結果、毛細血管圧が上昇するというもの。もう一つはRAA系の亢進。であれば、RA系の併用は理に適っている。

 RA系が使えなかったとしたら? じつは、L/N型CCBのシルニジピンがCCBの中でも、下肢浮腫の発現が少ないという報告がある。その機序として、N型Caチャネル阻害による交感神経の抑制(細動脈だけでなく細静脈も拡張させる)やアルドステロンを含むRAS活性化の抑制の関与が示唆されている(Therapeutic Research vol. 32 no. 5 2011)。

 RA系を使えないときの次善の策として覚えておく。
 

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 さっそく追記!

 CCBにRA系を併用することで浮腫リスクが38%減少(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21295192 )

 なお、「ACE inhibitor seems to be more efficacious than ARB in reducing calcium channel blocker-associated peripheral edema, but head-to-head comparison studies are needed to prove this」とあり、ACE-Iのほうがいいかもしれない。

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2015年11月 6日 (金)

「人間はどうどうめぐりのなかに生きている」

「古今を通じて変わらない価値観と、時代とともに変遷していく人生観をどのように調和させるか、それが人間の生きる姿だ」(P. 4)


 39人の人生を通して、その生き方を探求する。一つだけご紹介。

【イソップが笑うのは、自分を正しく認識できない者】

 古代ギリシアで神託の聖地とされていたデルポイの神殿には「汝自身を知れ!」という言葉が掲げられていた。この言葉こそ、ギリシア人nこの上ない英知を示している。自分自身を正しく認識すること―古代ギリシア人は、それを何より、生き方の根底に据えたのである。(中略)“寓話のソクラテス”といわれるイソップも、この言葉を生き方の指針にしたにちがいない。だからこそ、あの『イソップ物語』が生まれたのである。『イソップ寓話集』とは、自分を知らざる者の“悲喜劇全集”である。おのれを知らなければ、どうして経験を生かすことができようか。

(森本哲郎『生き方の研究』PHP文庫 P. 531-532)
 
 人間が賢くなるのは、経験によるのではなく、経験に対処する能力に応じてである(@バーナード・ショウ)。つまり、経験するだけでは、経験そのものではダメで、経験をどうのように生かすかが問題なわけだ。

 そして経験を生かすために、「汝自身を知れ!」となる。

 しかし、経験を生かすことができない者に、正確な自分の姿がつかめるはずもない。ということは、これはトートロジーの様相を帯びてくることになる。なぜ、経験を生かせないの? 自分を知らないからだ。なぜ、自分を知らないの? 経験を生かせないからだ、と。
 
 
【人間はどうどうめぐりのなかに生きている】

 すなわち、人間はまず経験―赤ん坊が乳を吸うのも経験である―によって自分の意識を持ち始め、ついで、形づくられた自己意識をさらに経験によって修正し、あるいは確認し、あるいは変質させていく。そして、自我認識がふたたび経験による学び方を向上させる、というふうに、自分を知ることと、経験を生かすことは、不即不離の関係を保っているのだ。
 だから、「汝自身を知れ!」というデルポイの箴言と、『イソップ物語』とは、表裏一体をなしているとみていいだろう。イソップが説いたのは、まさしく、おのれの正体をはっきり見定めよ、という忠告であり、同時に、何より経験をしっかりと学べ、という戒めであった。

(森本哲郎『生き方の研究』PHP文庫 P. 534)
 

 なるほど、観念で考えるから、どちらが先か、という問題になる。「自分を知ることと、経験を生かすことは、不即不離の関係」なわけだ。しかし順番の問題が解決しても、具体的にはどうすればよいのか。
 
 失敗する動物たちのリストを参照することができるではないか(人間は成功より失敗から多くを学ぶから)。その中から、どれだけ自分を知ることができるか。他人の経験から、どれだけ学ぶことができるか。経験を生かす知恵が『イソップ物語』にはある。

 
 
39人の人生から


「生き方の探求とは、しょせん、生かされている自分を『命のひま』にしみじみと反省し、『さびしさの極みに堪えて』、この広大は天地に身を寄せる孤独な存在としてのわが身を『つくづくと』思い知ることではなかろうか」生き方の研究(39)


「私が不思議に思うのは、何もかも、すべてを『情報』として扱い、処理してしまうこのような無反省な社会の出現である」生き方の研究(38)


「考えれば考えるほど、“正義”という言葉ぐらい複雑怪奇な概念はない」生き方の研究(37)

「人間が賢くなるのは、経験によるのではなく、経験に対処する能力に応じてである(@バーナード・ショウ)」生き方の研究(36)


「正しいと思われることは多々あるだろう。だが、人間のどんな意見、どんな主張も、けっして絶対的ではありえない。むろん、自分自身の考えもふくめて」生き方の研究(35)


「人間は一ヶ所に住みついてしまうと、つい、安易になり、怠惰になる」生き方の研究(34)


「人間にとって何より大事なのは、教えられ方を自得することだ」生き方の研究(33)


「悟りといふ事は如何なる場合にも平気で生きて居る事であつた(@正岡子規)」生き方の研究(32)


「光が輝きを増せば増すほど、その光がつくりだす影もいっそう深くなる」生き方の研究(31)


「中(庸)というのは、いちばん容易、かつ安易な生き方のように思えるが、…じつに至難な道なのである。だから、ほどほどに人生を終えた人はすくないのだ」生き方の研究(30)


「悲しみが大きく、苦しみが激しければ、それだけに一瞬の安らぎは輝く。束の間のかけがえのないものになる」生き方の研究(29)


「ふだん、私たちは自分の『生き方』について、あまり深く考えない。まして、日本人としての生活様式をほとんど意識することはない。しかし、異文化と接触するとき、それについての反省を、いやおうなく迫られる」生き方の研究(28)

「実力に裏づけられた自信ほど、いさぎよいものはない」生き方の研究(27)


「大切なことは、立派な老人になるということだ。老年とは、あくまで自分が作りあげるものなのである。したがって、青年時代の基盤の上に、その人の老年時代がやってくるということを、ゆめ忘れてはならない」生き方の研究(26)

「作品こそが、偽らざる自分を描き出しているはずだ」生き方の研究(25)


「幸と不幸の距離は、こうでありたいと願う人生と、こうでしかありえない人生とのあいだが、どれほどひらいているか、その差にある、と見てよい。その差を克服することこそが人生の戦いなのであり、それをどのように克服するかが、その人の生涯を決めるのである」生き方の研究(24)


「堅固な城壁は堅固であればあるほど、内部が地獄と化した時には絶望な死の扉になる」生き方の研究(23)


「人間とは生の宣告を受け、しかも判決の内容を少しも知らされていない囚人だ」生き方の研究(22)


「世間がつくりあげる虚像なるものは、しばしば実像をしのぐ」生き方の研究(21)


「この世に『人間』なるものは存在しない。生きつづけてきたのは、男と女である。『人間』とは、男と女とを綜合した抽象概念なのである」生き方の研究(20)


「人間の希望というものは、初めは漠然として大きいものだが、やがてしだいに小さくなり、同時にはっきりとしてくる」生き方の研究(19)


「魂の平安をかき乱すのは、何より過度な欲望、感覚的な快楽だ」生き方の研究(18)


「さても、人の評価ほど当てにならないものはない。毀誉褒貶は、まさしく世の習いである」生き方の研究(17)


「人間は名声のなかでこそ真価が問われる」生き方の研究(16)


「自分でも制御できない衝動は、まちがいなくデーモンの仕業である」生き方の研究(15)


「手段を往々にして目的を見失わせる。たんなる形式に堕して本質を忘れさせる」生き方の研究(14)


「どこでやめるべきかを知っている者が天才である」生き方の研究(13)


「逆境にあってこそ自我は試され、強烈に育ってゆく」生き方の研究(12)


「笑いがあればこそ人の涙はかわくのであり、悲嘆は勇気へと生れ変る。切なさは余裕にとってかわり、悩みは杞憂のように思えてくる」生き方の研究(11)


「才能は時代が呼び出すのである。能力はその時代の社会が要求するのだ」生き方の研究(10)


「目を凝らしていては全体は見えてこない」生き方の研究(9)


「忍耐こそが勇気と胆力を育て、冷静な判断力を養うのである」生き方の研究(8)


「人間の真実はその人の最後の言葉ににじんでいる」生き方の研究(7)


「討論を終らせる最良の方法は冗談である」生き方の研究(6)


「教育の成果とは、教育するほうよりも、むしろ教育される資格にかかっているのだ」生き方の研究(5)


「食うための苦労と、真に生きるための努力、この二者の乖離こそ、人の心をこの上なくさいなむのである」生き方の研究(4)


「迷うということこそ人間の本質だ」生き方の研究(3)


「人間はつねに両極の緊張のなかで生きる」生き方の研究(2)


「人生は使い方を知れば長い」生き方の研究(1)
 

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2015年10月30日 (金)

リリカの用法と浮動性めまいの発現率

リリカによるめまいや眠気
高齢者、腎機能、服用初期。
そして、その他の要因について。

CASE 175

女性 80歳 

他科受診:整形外科  併用薬:ボノテオ錠50㎎、エディロールカプセル0.75μg

定期処方:
Rp1) ミカルディス錠40mg 1錠
       アムロジピン錠5㎎ 1錠
    ピタバスタチン錠1㎎ 1錠
    トラゼンタ錠5㎎ 1錠 
    グリメピリド錠0.5㎎ 1錠
    ダイアート錠30㎎ 1錠  分1 朝食後   28日分

Rp2)リリカカプセル25㎎ 2C 分2 朝・夕食後 28日分

Rp3)ランタス注ソロスター 2キット
     1日2回(朝12単位、寝る前4単位)

患者のコメント:
「リリカは食事してこないときも飲んでいいの?」

患者の情報:
① リリカを服用開始して2週間。めまい・眠気など副作用なし。
② 今朝採血のため食事なし。念のため、リリカを服用してこなかった。
③ しびれは相変わらず。Drはもう少し様子を見ようと。
④ 体重52kg、身長145cm、S-Cr:1.10、eGFR:30.17mL/min

□CASE 175の薬歴
#1 朝食抜きのときはリリカの服用を控える
  S) リリカは食事してこないときも飲んでいいの? 採血があるから。
   リリカは念のため飲んでこなかった。
 O) リリカ服用2週間→めまいや眠気など(-)
   他科にて骨粗鬆症治療中
 A) 空腹時服用→Tmax↑→めまい→転倒・骨折リスク↑
 P) 空腹時の服用にてめまいが起きやすくなるので今回の対応でOK
    空腹時での服用は避け、食後に服用するように。
   これからはむくみや体重などにも注意しておいて。
 
 
□解説
 糖尿病性の神経障害疼痛にてリリカの服用を開始した患者。腎機能の低下(eGFR:30mL/min)があり、初期用量を50㎎/dayとやや少なめでスタートをしているものの、骨粗鬆症の高齢女性のため、めまいからの転倒・骨折を心配していた。幸い、服用初期に発現しやすいめまいや眠気の発現はなく、開始して2週間が経過している。

Photo

 しびれは続いているが「今回はこのまま様子を見よう」と28日分の処方。そこで、服用1~2か月頃から注意が必要な末梢性浮腫と体重増加についてのアナウンスをしようと考えていた。

 ところが、「リリカは食事してこないときも飲んでいいの?」と、患者より質問を受ける。今日は採血があるため食事をしておらず、念のためグリメピリドだけでなくリリカも飲んでいないという。

 じつは、このリリカ。食事の有無の違いで血中濃度の推移が大きく異なる。

Photo_2

 (リリカカプセルIF P. 83)

 AUCはほとんど変わらないものの、Cmaxは空腹時と食後でそれぞれ 4.95 及び 3.22μg/mL、tmaxは 0.947 及び 3.37 時間とそのふるまいは大きく変化している。その結果、当然ながら「浮動性めまいの発現率は、食後投与 5.3%(1/19 例)と比べ絶食時投与 30.8%(12/39 例)で高かった」となっている。

 そこで転倒・骨折リスクを避けるために、空腹時での服用を避けるように指導している。
 
 
□考察
 
80歳で骨粗鬆症、もうこれだけでリリカの服用というのは心配だ。大腿骨近位部骨折でもやってしまったら、約2割はそのまま寝たきりになってしまうからだ。

 おまけに腎機能の低下まである。腎機能が正常でも高齢者なら少なめでいきたいくらいなのに、副作用の起きやすい患者背景まであるわけだ。理由はいろいろ言われているが、それ以外にも問題になることがある。それが今回の空腹時での服用だ。

 白鷺病院の古久保先生は、ハイリスク薬に対して、次のように対応しようと提案されている。

 ① 薬をよく知る
 ② 副作用の特徴をよく知る
 ③ 仮説を立て、検証する
 ④ 実践して修正する

 対策が頭の中にあるからこそ、その対策を実践して修正を加えているからこそ、患者の質問にも適切に返答できるし、副作用を未然に防止できるというわけだ。
 

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2015年10月23日 (金)

2015年10月のコラム ~NOACとシベノールの関連記事をまとめてみました~

2015年10月の薬局にソクラテスがやってきた
超ハイリスク薬のプラザキサとシベノール。
過去のコラムでも連載記事が多数ありました。

【第42回】


 プラザキサとシベノール、どちらも腎機能に応じた用量調節が気になる薬剤。ハイリスク薬の中でも特に注意が必要な“超ハイリスク薬”と考えていいでしょう。

 記事の中で、NOACを“新規抗凝固薬”ではなく“非ビタミンK阻害経口抗凝固薬”と紹介しました。今はそのように呼ばれるようです。たしかに4つもあったら、もう新規とは呼べないですよね。

 過去の関連記事をまとめてみました。NOACの記事が多いですね。話題性に加え、クラスエフェクトではない点が大きいのかもしれません。


<シベノール関連記事>



<NOAC関連記事>






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2015年10月16日 (金)

誰も言わないことを綴ることができるか? ~日薬分科会12の演者について~

11月の日薬大会が近づいているせいなのか?
この本を読みながら、まさに、熊谷さんと青島さんだなと。

【誰も言わないことを言う】

 自分が感じていること、考えていることを発表するときには、できるだけ「自分が死んだら、これと同じことを感じたり考えたりする人がいなくなる」ことだけを選択的に語るほうがいいと思います。
   (中略)
 「自分と同じ意見の人間が他にもたくさんいる」と宣言した瞬間に、その人は「いくらでも替えが効くので、いなくなっても別に困らない人」というカテゴリーにおのれを類別してしまう。
 本人は気づいていませんが、「私はいなくなってもいい人間です」という自己申告は弱い酸のようにその人の生命力を蝕んでいきます。
 ほんとうに。
 命の力を高めるためには、「私がいなくなったら、誰もそれを言う人がいなくなるようなこと」だけを選択的に語ったほうがいい。
 これは僕の経験的確信です。
 自分以外の人でも言いそうなことはできるだけ言わないでおく。
 誰でも言いそうなことをあちこちで言い募って時間を浪費するには人生はあまりに短いからです。

(内田樹『困難な成熟』夜間飛行 P. 284-287)
 
 誰も言いそうにないことを書き連ねている薬剤師といえば? 日薬大会も近いせいか、熊谷さんと青島さんのお二人の顔が浮かぶ。

Nichiyaku4

 熊谷さんといえば「炎上」。温和な外見とは裏腹に肝が据わっている。ほんとうに。とても僕には耐えられそうにない。

 炎上するということは、当然ながら、そのスレッドにいる人は賛同者ばかりではない。援護しようにも、火に油になりかねないこともよくある。そんなスレッドが展開するコラムリストは他にはいない。僕なんて、せいぜいミスを指摘されるくらいだ。

 次に青島さん。青島さんはコラムではまだ節度を保っている(失礼!)。しかし彼はTwitterやFBにおいて、誰も言わないようなことを呟いている。たとえば「もう糖尿病という病名はやめて、『おしっこに、糖が出ちまうんだけど、いかがなもんでしょ症』くらいが良いのではないか」といったもの。もう糖尿病という病名をなくしてしまえ、と。おもしろい。こんなこと誰も言ってない(以下、青島さんの意図と違ってたらごめんなさい)。

 糖尿病という病名を恣意的に作り上げたとき、血糖値は下げなければいけないものになった。「厳格な血糖コントロールを行うことで20%くらい死亡が増えるかもしれない」であってもだ。

 いわゆる三大合併症を防ぐには、どの薬を使おうと、ある程度下げておけばいい。糖尿病性腎症だって、ある程度以上になると、血糖値よりも血圧のほうがより重要だし、いわゆる集学的治療が必要となる。いわんや、それ以上の合併症、CVDやガン、認知症などを防ごうと思ったら、血糖コントロールが主眼ではないでしょう。メトホルミンによる合併症予防効果だって、血糖コントロールによるものというより、AMPKの活性化を介した多面的な作用によるものだと僕は思っている。

 米国糖尿病学会(ADA)は、2015年のガイドライン改訂において、すべての糖尿病患者に対してスタチンの投与を推奨している。これなんかも厳格な血糖コントロールだけを考えているようではダメだ、といういい例だ(その良し悪しはおいといて)。
 
【誰も気がついてないゴミを拾う】

 もし、あならが「これからの日本を良くする」ことについて多少でも決定に与りたい、できるなら実効的にかかわりたいとほんとうに願っているなら、誰も気がついていない「床のゴミ」をまず拾い上げることから始めるしかありません。
 ふつうそれは「まったく新しいタイプの社会的活動をはじめる」というかたちをとることになります。
 だって、「誰も気がついてない床のゴミを拾う」わけですから、「あ、そんなところにそんなものがあったんだ……」という気づきから始まるのは当然のことですからね。
 あなたが誰も気づかなかった「床のゴミ」を見つけ、それを拾ったことで、場が新しいフェーズに上がります。
 そのフェーズにおいては、あなたがうるさく要求しなくても、あなたを「ハブ」にして、さまざまなものごとが動き出します。
 健闘を祈ります。

(内田樹『困難な成熟』夜間飛行 P. 81-82)
 
 熊谷さんは毎週毎週、薬剤師界の床のゴミを拾いつづけ、日経DIOのコラムを牽引しつづける。僕も熊谷さんを「ハブ」にして、その一員に加わることができた。

 青島さんもEBMの伝道師として、DIOはもちろん、JJCLIPやその他の活動を展開している。

 そして、僕らのブログやコラムが読まれるかどうか。それは「誰も気がついてない床のゴミ」を拾えているかどうか。それと同義なのかもしれない。
 
日薬大会鹿児島 11月23日(祝・月) 分科会12

Nichiyaku02

 演題も出そろいました。こんなメンツでこんな内容の日薬なんて、過去に一度もなかったのでは? 僕自身もとても楽しみなんです。

 

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2015年10月 9日 (金)

DIクイズ17とソクラテスクイズ第1弾

日経DIクイズ17発売
DIOコラム#41のクイズは簡単? 難しい?


【日経DIクイズ17】
 発売になりました。今回は少なめで、2本のエントリーです。

Q32) ノルバスクをアダラートCRに変えた理由

Q39) 間欠性跛行で抗血小板薬を変えた理由

 どちらも同じ薬効群での薬剤変更です。どうして変更になったのか。それを説明する病態がどちらにもあるわけです。


【第41回】


 DIOコラムは新しい試みとして、クイズ形式を採用してみました。ソクラテスクイズ第1弾! “Vaughan Williams分類のワナ”

 同じクイズでも本誌のように状況設定をしなくて済みますし、なにより紙面の制限がなく、図表を多く使える。今回のように難しい内容をお伝えするには向いていますね。

 講演会などで今回のクイズを参加者に提出しますと、若い薬剤師は十中八九、間違えます。アミオダロンはⅢ群に分類されることに加え、毒薬ですし、とにかく怖いイメージなのでしょう。

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2015年10月 2日 (金)

夏に注意すべき副作用 ~安心処方infobox 実践例第84回と86回~

医師・薬剤師向けのサイト「安心処方infobox」
第84回、第86回サーチ実践例監修。
夏に注意すべき副作用! 

【第84回サーチ実践例】

 「NSAIDsのテープ剤と光線過敏症」 

 モーラステープは禁忌なのでわかります。有名ですから。では他のNSAIDsテープ剤での記載はどうなのでしょうか? 疑義照会する前にちょっと検索を。

Ims84

【第86回サーチ実践例】

 「発汗減少がおきる抗てんかん薬は?」 

 発汗減少という副作用がなぜ起きるのか? これはわかりません。ということは薬理作用から推測することができません。そこで薬効群をまとめて検索しちゃいます。

Photo

 余談ですが、エクセグランに発汗減少の報告があるということは、トレリーフにもあるということです。どうも用量が少なくても、この副作用は免れないようです。

 先日、トレリーフを服用している患者のご家族からのコメントをいただきました。「(発汗減少のことを)きいていて、よかったです。暑いのに汗かいてないな、と思ったら、身体が熱かったんですよ。助かりました」と。

 熊本の夏は暑いですから、光線過敏も発汗減少もともに侮れません。


【副作用サーチ実践例】

2010/07/27  CASE24. ARBによる白血球減少症

2011/01/24  CASE30. 副作用サーチの結果をトレースレポートに

2011/03/22  CASE32. 副作用名を思いつかないケース

2011/06/27  CASE35. 副作用サーチの検索のポイント

2011/08/22  CASE37. 副作用サーチで資料作り

2013/11/25  CASE64. ACE阻害薬による味覚異常

2014/03/24  CASE68. 「スタチンが高血糖をひきおこすか?」スタチンをまとめて検索する

2014/05/26 CASE70. OTC医薬品の副作用を検索する

2014/07/28  CASE72  α1ブロッカーによる射精障害

2014/09/22  CASE74  脂質異常症薬と脱毛 ~検索しながら考える~

2014/11/25  CASE76. ループ系利尿薬で女性化乳房の報告のあるものとないもの

2015/01/26  CASE78. 血圧低下の報告のない抗血小板薬は?

2015/03/23  CASE80. 乳汁分泌の副作用のある薬は?

2015/05/25  CASE82. DPP-4阻害薬による血小板数減少

【相互作用サーチ実践例】

2010/10/28  CASE27. 相互作用サーチでうらおもて検索

2014/01/27 CASE66. チラーヂンS-プロマックの併用注意をうらおもて検索する

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2015年9月25日 (金)

夜間高血圧とRAS阻害薬

ひさしぶりに日経DIクイズ書きました。
夜間高血圧対策としての利尿剤。
その他の手をご紹介。

Di201509

日経DI 2015.9 
日経DIクイズ1 「塩分が多いと夜間高血圧になる理由」


【早朝高血圧】

 早朝高血圧には大きく分けて2つのタイプがある。サージタイプと夜間高血圧タイプ。どちらも早朝の血圧が高いので、その時点の血圧だけでは判別し難い。しかし、患者の背景に注目すれば予測できないこともない。

 参考:サージタイプ対策の一つの手
     日経DIクイズ 2014年11月「ノルバスクをアダラートCRに変えた理由」


【夜間高血圧】

 糖尿病や肥満、CKDの患者においは食塩感受性が高いとされる。つまりNa貯留傾向にある。この過剰なNaを日中に排泄できなければ、本来血圧が低下するはずの夜間においても高くなってしまうわけだ。

 当然、対策としてすぐに思い浮かぶのは利尿剤だ。詳しくは本誌を参考に。

 もう一つの血圧日内変動を改善する薬効群、それはRAS阻害薬。たとえばARBの投与を朝から夜に変更すると、血圧日内リズムがnon-dipper型からdipper型に移行することが多い。RAS活性が高まる夜間から早朝の時間帯に、ARBの効果を最大限に引き出そうというわけだ(ちなみにCa拮抗薬は服用時間に係わらず昼間と夜間の血圧を同程度に低下させるので、血圧日内リズムに及ぼす影響は小さい)。

 なぜなら、ARBの半減期はけっこう短い。朝1回の服用では夜間まで届かないのも頷ける。半減期の短いタイプのARBを単剤で使用するなら、1日2回での服用がいいかもしれない。

 ロサルタン錠50mg  2~4時間
 カンデサルタン錠4mg 11.2時間
 バルサルタン錠80mg  3.9時間
 テルミサルタン錠40mg 20.3時間
 オルメサルタン錠20mg 6.3時間
 イルベサルタン錠100mg 13.6時間
 アジルサルタン錠20mg 13.2時間
 (月刊循環器 2013/4 Vol.3 No.4 P.97より引用改変)

 早朝・夜間高血圧をターゲットとして拡宣しているARBといえば、テルミサルタンとオルメサルタン、アジルサルタンが思いつく。テルミサルタンは確かに半減期が一番長いのでさもありなん。では他の2剤はどういった理屈なのだろうか?

 まずはアジルサルタン。これはカンデサルタンの改良型であり、脂溶性が高まったことによる組織移行性、そして受容体から解離しにくさが特徴と言われている。この受容体からの解離しにくさが降圧効果と半減期が相関しない理由らしい。たしかにT/P比は高いようだ。

 もう一つはオルメサルタン。これは日経メディカルに関連の記事がある。

 
 「オルメサルタンは昼間のNa排泄促進を介して、昼間・夜間のNa排泄のバランスを改善することでnon-dipperを正常化している可能性がある」らしい。

 まあ、上の2剤は特殊と考えて、ふつうは半減期やT/P比を参考にすればいいわけだ。とすれば、じつはARBよりも優れているやつがいる。ACE阻害薬のペリンドプリル。半減期は57時間のT/P比は75~100%もある。じつに圧倒的なのだが・・・。

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2015年9月18日 (金)

「家族に処方された薬を勝手に飲んではいけません」

スンベプラとクラリスロマイシン。
併用禁忌の薬が一つ屋根の下にある状況。
他人に処方された薬を服用することの危険。

CASE 174

男性 50歳 

他科受診:整形外科  併用薬:トラムセット配合錠 4錠 分4

定期処方:
Rp1) クラリスロマイシン錠200mg 2錠  分2 朝・夕食後   7日分

Rp2)カフコデ配合錠       6錠  
    カルボシステイン錠500㎎ 3錠  分3  毎食後  7日分

患者のコメント:
「母親の抗生剤(バナン)を飲んでたけど効かなくてね。マイコプラズマ肺炎って」

疑義照会:
(内容)他科にてトラムセット服用中、アセトアミノフェン過量
(回答)カフコデ配合錠 6錠 → アストミン錠 6錠 へ変更

母親の情報:
ダクルインザ・スンベプラ療法を実施中(12週目/24週)

□CASE 174の薬歴
#1 必ず本人がクラリスロマイシンを飲みきる
  S) 母親の抗生剤(バナン)を飲んでたけど効かなくてね。マイコプラズマ肺炎って
 O) 母親→ダクルインザ・スンベプラ療法を実施中(12週目/24週)
 A) クラリスロマイシンを誤って母親が服用すると危ない
 P) お母さんには併用禁忌の薬。間違ってもお母さんが飲むことのないように。
   この抗生剤は本人が必ず最後まで飲みきってしまうこと。
 
 
□解説
 本人ならびにお母さんともに当局を長く利用されている。ゆえに母親がダクルインザ・スンベプラ療法を実施していることはカルテを出さずとも把握できていた。

 その息子に併用禁忌であるクラリスロマイシンが処方となる。イヤだな~と思いながらもお話しを伺うと、「母親の抗生剤(バナン)を飲んでたけど効かなくてね」との情報が。この状況はやはり危ない。

 マイコプラズマ肺炎とのことなので、ニューキノロンに変えてもらおうかとも一瞬迷いもしたが、母親の薬と併用禁忌であること、必ず本人が飲んでしまうようにと徹底し、投薬している。

 
□考察
 ダクルインザ・スンベプラには併用禁忌が多数ある。本人への対応はしっかり行っているつもりだが、家族の薬というのは盲点だった。でも、残薬も含めて、視野に入れておかないといけない。

<ダクルインザの併用禁忌>

1

<スンベプラの併用禁忌>

2

 「他の人に処方された薬」を飲んではいけない、あげてはいけない。残薬を勝手に服用してはいけない。こういった基本的な服薬指導は、当たり前のことであるがゆえに、おろそかになりがちだ。でも、こういった当たり前のことを、ことあるごとに、繰り返しアナウンスしていくのも薬剤師の役割なのだ、と再認識させられた事例だった。

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2015年9月11日 (金)

2015年9月のコラム ~催眠・鎮静系の抗うつ薬~

2015年9月の薬局にソクラテスがやってきた
睡眠薬の多剤併用の問題と催眠・鎮静系の抗うつ薬。
テトラミドとリフレックスの構造ってほんとにそっくり。

【第39回】


 まったくの偶然ですが、同日に「BZ系薬の高用量処方、いまだ減らず 多剤処方の減少効果は認められるが診療報酬改定の効果は限定的」 という記事が掲載になりました。たしかに、減っていないように日々感じます。

 記事の中で「今まで当たり前のように講じられてきた『半減期の異なる睡眠薬の併用』。一見理にかなっているように見えるが、そもそもこれが不眠改善において“ブースター効果”を発揮するかどうかは、明らかになってはいないのだ」と書きました。BZ系の効果がアロステリックな働きによることを考えると、やはり期待はできないように思います。

~参考資料~
2002年に不眠のために米国で使われた薬剤の相対処方頻度

1位 トラゾドン(デジレル、レスリン) 
2位 ゾルピデム(マイスリー)
3位 アミトリプチリン(トリプタノール)
4位 ミルタザピン(リフレックス、レスリン
5位 Temazepam(本邦未発売)
6位 クエチアピン(セロクエル)

 

【第40回】


 第39回で催眠・鎮静系抗うつ薬を扱いましたが、ミアンセリン(テトラミド)とミルタザピン(リフレックス、レメロン)の構造がそっくりなんです。でも、抗うつ薬としての位置づけはまるで違う。

 その違いを構造と薬理作用から迫ってみました。特に構造は6位のCとNだけの違いに過ぎません。しかしCとNは物性的性質がぜんぜん違う。

Photo

 
この手の話題は興味のある人とない人がはっきりします。僕は楽しいですが・・・。今後も懲りずにこの手の話題にもチャレンジしていきたいと思います。

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