「妊娠しているかも」への投薬
明日が生理予定日で「妊娠しているかも」
患者の不安に対して
妊婦への投薬における原則
CASE 118
25歳 女性
他科受診:なし 併用薬 :なし
今回の処方:
Rp1) ホスミシン錠500mg 2T/2x朝・夕食後 3日分
2) プリンペラン錠5mg 3T・ビオフェルミン錠剤 3T /3x毎食後 3日分
患者から得られた情報:
①「妊娠しているかも」
② 明日が生理予定日
③ ①②はDrには伝えている。
④「胃腸炎だろう」といわれた。
□CASE 118の薬歴
#1 服薬への不安をやわらげる
S) 妊娠しているかも。明日が生理予定日。
O) Drには伝えている。不安な様子(+)
胃腸炎にてRp1)2)処方
A) 絶対過敏期だがサリドマイドでも31日まではNP。
さらに処方薬は安全性が高い
P) 妊娠していたとしても、妊婦にも使われる薬ですし、
薬の影響を受けない期間にはもうすこし余裕があるので、
3日間はしっかり飲んで大丈夫。
その後は過敏な時期なので、自己判断は禁物です。
□解説
明日が生理予定日ということは絶対過敏期にあたる。「生理が遅れている」「妊娠しているかも?」くらいがいちばん薬の影響を受けやすい。
Drには状況を伝えているし、Drも安全性の高い薬を選んでいる。この状況でできることは安心して薬を飲んでもらうこと。それしかない。
A)で示した「絶対過敏期だがサリドマイドでも31日まではNP」はCASE 117でも引用した下記を根拠にしている。
また、サリドマイドの服用時期とそれによって生じた奇形の間には明確な因果関係が知られている。最終月経から32日以前、あるいは52日以降の服薬では奇形が発生していない。このことはサリドマイドであっても受精後2週間は先天異常を引き起こさなかったことを示している。
(林昌洋『高リスク患者への薬学的ケア 研修用テキスト』日本薬剤師研修センター P.18)
妊婦に通常使用し得る薬剤であること。そしてまだ日程的にはじつは大丈夫であること。これらを材料に安心して服薬するように促している。
□考察
今回のケースでは、患者の不安をやわらげるためだけに知識を用いた。なぜなら特別なリスクがほとんどないからだ(通常成人への投薬と変わらないの意)。CASE 117ではこの分野の知識の使いかたを誤った。
妊婦への投薬は、まずリスクをできるだけ回避する。そのうえで必要な薬はできるだけ安心して飲んでもらう。
これを原則として刻んでおこう。
そして患者に安心を与えるためには薬剤師の自信が必要だ。そう言い切るための根拠。これがなければ「心配はいらない」というメタ・メッセージは伝わらない。
今回はその根拠がふたつもあった。メタ・メッセージはきっと伝わっただろう。
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